※本記事は 2026 年 8 月 7 日時点の公開情報をもとに作成しています。
「プログラミングが好きで、自分でアプリを作っている。これって総合型選抜で使えるの?」
結論から言うと、使えます。ただし「作品がある」だけでは受かりません。
総合型選抜でプログラミングを武器にするために必要なのは、次の 3 つです。
- プログラミング実績が実際に評価される入試を選ぶこと
- 「なぜ作ったか」「何につまずいたか」を自分の言葉で説明できること
- 出願は高 3 の 9 月以降。実績づくりは高 2 までに終わらせること
この記事では、実績が出願資格や選考免除に直結する入試の実例、作品の選び方、高校生が挑めるコンテストの時期、志望理由書・面接での語り方までを、現役エンジニアが教えている教室の立場から解説します。
総合型選抜でプログラミングはどこまで武器になる?
総合型選抜は、もう「特殊なルート」ではない
まず前提の確認です。
文部科学省の調査によれば、2025 年度(令和 7 年度)の大学入学者のうち、総合型選抜での入学者は 12 万 6,766 人で全体の 19.5%。学校推薦型選抜は 22 万 1,415 人で 34.1% でした。単純に合算すると、入学者の 53.6% が年内入試での入学ということになります
(出典:文部科学省「令和 7 年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」、2026 年 8 月 7 日確認)。
総合型選抜の内訳を設置者別に見ると、国立 7.7%、公立 6.0%、私立 22.8% と差があります。私立では 5 人に 1 人以上が総合型選抜です。
つまり、総合型選抜は「一般選抜がダメだったときの保険」ではなく、最初から狙って準備する主流ルートの 1 つになっているということです。
なお、この調査は令和 7 年度入学者選抜から「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の 3 区分に再整理され、外国人留学生を対象とする選抜も含まれるようになったため、前年度の数値とは比較できないと文科省自身が注記しています。
ただし「作品を作った」だけでは受からない
ここは正直に書きます。
総合型選抜は、志望理由書・活動報告書・面接・プレゼンテーションなどを組み合わせて、志願者を多面的に評価する入試です。提出した作品そのものに点数がつくわけではありません。
評価されているのは、作品の裏側にある次のようなものです。
- なぜその問題を解こうと思ったのか(動機の具体性)
- どこでつまずき、どう調べ、どう解決したのか(課題解決のプロセス)
- 誰かに使ってもらって、何が返ってきたのか(他者との接点)
- 大学で何を学び、その先で何をしたいのか(志望との接続)
逆に言えば、技術的にはシンプルな作品でも、この 4 つを語れれば十分に戦えます。派手なものを作ることより、1 つのものを最後まで作り切って、その過程を説明できるほうが重要です。
2027 年度入試から、総合型選抜は「面接を必ず行う」入試になった
もう 1 つ、2027 年度(令和 9 年度)入試からの重要な変更があります。
文部科学省の令和 9 年度大学入学者選抜実施要項は、総合型選抜について次のように定めました。
入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する総合型選抜の趣旨に鑑み、志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接(ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問等を含む。オンラインによる実施を含む。)による評価を必ず行う。
(出典:文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」 第 3 の 1(2)②、2026 年 8 月 7 日確認)
総合型選抜については例外規定がありません。「大学の実情に応じて面接の要否を判断できる」という留保がつくのは、学校推薦型選抜のうち非公募型(指定校推薦など)に限られます。
ただし、令和 8 年度に既に実施されていた選抜区分で、令和 9 年度から面接を導入することが難しいものについては、遅くとも令和 11 年度(2029 年度)入学者選抜までに導入するという猶予が置かれています(同要項 第 14 備考)。無条件の猶予ではない点に注意してください。
この変更は、プログラミングを武器にする受験生にとっては追い風です。
書類だけで完結する形式が減り、「自分の作ったものについて口で説明する場面」が確実に用意されるからです。
同時に、書類を盛るだけの戦略は通用しにくくなります。
面接で技術的に踏み込んで聞かれたとき、自分で作っていない人はそこで止まります。
プログラミング実績が直接効く入試は、実在する
実績を出願資格や選考免除に使える入試
コンテスト実績や開発経験を、はっきりと評価対象に組み込んでいる入試は複数あります。2027 年度(令和 9 年度)入試で確認できたものを挙げます。
大学・学部 | 選抜方式 | プログラミング実績の扱い |
|---|---|---|
近畿大学 情報学部 情報学科 | 総合型選抜 | 出願条件が「情報関連分野に強い関心を持ち、プログラム作成の経験を積んでいる/情報関係コンテストに出場した経験がある/情報関係の資格などを有する」のいずれか。未踏 IT・未踏ジュニア・SecHack365 の採択者は、自己 PR 動画の提出が不要かつ第 1 次審査が免除され、第 2 次審査は面接のみになる |
東京都立大学 システムデザイン学部 情報科学科 | 総合型選抜(科学オリンピック入試) | 日本情報オリンピックの予選 A ランク者または本選成績優秀者(女性部門の本選 A ランク者を含む)、もしくは未踏 IT・未踏ジュニアに採択された者が出願資格。合格した場合の入学確約が必要。募集人員は若干名 |
慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部(SFC) | AO 入試(1 次選考免除申請) | 指定コンテストで所定の成績をおさめたことを証明できれば、1 次選考(書類選考)が免除される。情報系では JOI 本選 A ランク者、未踏 IT 最終採択者、未踏ジュニアスーパークリエータ認定者、日本学生科学賞(情報・技術、応用数学)中央予備審査通過者などが対象 |
静岡大学 情報学部 行動情報学科 | 総合型選抜(共通テストを課さない/全学科枠・通称「アチーバー人材入試」) | 令和 9 年度から新設。指定コンテスト(静岡大学情報学部 高校生探究・情報コンテスト、日本情報オリンピック、未踏ジュニア、未踏 IT、U-22 プログラミングコンテスト、AtCoder、Kaggle など)の成績を書類審査で評価。募集人員 3 名 |
京都大学 工学部 情報学科 | 特色入試(学校推薦型選抜) | 提出書類「顕著な活動実績の概要」で、国際情報オリンピック等への参加・受賞や、特色ある創造活動(未踏ジュニアなど)を記入する。さらにコンピュータプログラムの添付、ソフトウェア開発経験や OSS 活動の説明、競技プログラミングのレーティング・スコアの提示も受け付けると明記。募集人員は一般枠 2 名・女性募集枠 2 名 |
筑波大学 情報学群ほか | アドミッションセンター(AC)入試 | 書類選考と面接・口述試験による自己推薦型入試。継続的に取り組んだ実績を評価 |
(出典:近畿大学 総合型選抜・東京都立大学 入学者選抜要項/学生募集要項・慶應義塾大学 SFC AO入試・静岡大学 学生募集要項・京都大学 特色入試・筑波大学 入試日程と募集要項、いずれも 2026 年 8 月 7 日確認。出願前に必ず各大学の最新の募集要項で確認してください)
「どんな実績が認められるか」の具体例
抽象的な話になりがちなので、近畿大学 情報学部が募集要項で挙げている出願条件の例を引用します。実績のレベル感をつかむのに、これ以上ない資料です。
(例)日本情報オリンピック 予選 B ランク通過者、日本数学オリンピック 中央予備審査通過者、日本学生科学賞 情報技術 事前審査通過者、未踏 IT 採択者、未踏ジュニア 採択者、SecHack365 採択者、パソコン甲子園 本選出場者、情報処理技術者試験合格者(IT パスポートは除く)、Supercomputing Contest 本選出場者、U-22 プログラミングコンテスト 一次審査通過者、AtCoder などの競技プログラミング(AtCoder の場合は茶色以上)、珠算能力検定試験 1 級満点合格者、日商簿記検定試験 2 級合格者以上など
(出典:近畿大学 令和 9 年度総合型選抜入学試験要項、2026 年 8 月 7 日確認)
注目してほしいのは、「全国優勝」レベルは要求されていないという点です。JOI 予選 B ランク通過、AtCoder 茶色、U-22 一次審査通過、パソコン甲子園本選出場。いずれも、高 1 から計画的に取り組めば十分に射程に入る水準です。
なお、慶應 SFC の 1 次選考免除には次の制約があるので注意してください。
- 個人での受賞のみが対象(グループやチームでの受賞は対象外)
- 中学校卒業以降から出願に至る期間の受賞のみが対象
- 免除申請は総合政策学部・環境情報学部のいずれかで1 回限り
福山・府中近郊にも、「情報」の実力がそのまま効く年内入試がある
遠くの大学の話だけではありません。
2027 年 4 月に開設予定の福山市立大学 情報工学部 情報工学科は、総合型選抜・学校推薦型選抜でも「数学・情報」の筆記試験が学力検査として課され、配点比率の 50% を占めます。共通テストを使わない年内入試でも、情報の実力がそのまま合否に直結する設計です
(出典:福山市立大学「2027年度(令和9年度)入学者選抜要項【情報工学部】」、2026 年 8 月 7 日確認)。
これは制度的にも裏づけがあります。文科省の実施要項は、総合型選抜について「教科・科目に係る個別テストを令和 9 年 2 月 1 日よりも前に実施することができる」と定めており、年内入試で学科試験を課すこと自体は認められています。
詳しくは福山市立大学 情報工学部の対策記事でも取り上げています。
出願は 9 月以降、合否は 11 月以降。逆算するとかなり早い
総合型選抜のスケジュールには、文科省が定めた下限があります。
総合型選抜については、一般選抜とは異なる観点や方法により時間をかけて丁寧に選抜を行うため、入学願書受付を令和 8 年 9 月 1 日以降とし、その判定結果を令和 8 年 11 月 1 日以降に発表する。
(出典:文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」 第 4 の 4、2026 年 8 月 7 日確認)
実際の日程を、2027 年度入試の例で見てみます。
大学・入試 | 出願 | 選考 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
筑波大学 AC 入試 | 2026 年 8 月 6 日〜9 月 2 日(web 登録)/郵送 9 月 1 日〜3 日 | 1 次結果 10 月 1 日/2 次(面接・口述試験)10 月 7 日〜19 日 | 2026 年 11 月 2 日 |
慶應 SFC 2026 夏秋 AO | オンライン申請 2026 年 8 月 3 日〜9 月 1 日/郵送 9 月 1 日〜2 日 | 1 次発表 10 月 8 日/2 次(面接)総合政策 10 月 17・18 日、環境情報 10 月 24・25 日 | 2026 年 11 月 2 日 |
静岡大学 情報学部 行動情報学科 | 2026 年 9 月 1 日〜7 日 | 2 次選考(面接・口頭試問)10 月 10 日 | 要項参照 |
東京都立大学 科学オリンピック入試 | 2026 年 11 月 1 日〜6 日 | 選抜日 11 月 28 日(日野キャンパス) | 2026 年 12 月 14 日 |
(各大学の募集要項より、2026 年 8 月 7 日確認)
ポイントは、多くの入試で出願書類の締切が高 3 の 9 月上旬だということです。
つまり、高 3 の夏の時点で、書類に書ける実績が揃っていなければならない。夏休みに慌てて作品を作り始めても、間に合いません。
何を作ればいい? 作品選びの 3 原則
「じゃあ何を作ればいいのか」が、いちばん多い質問です。答えは 3 つの原則に集約されます。
原則 1:自分が実際に困ったことから始める
いちばん強い作品は、自分が本当に困っている問題を解いたものです。
- 部活のシフト調整が毎回 LINE で揉めるので、割り当てアプリを作った
- 単語帳アプリが自分の覚え方に合わないので、自分用に作り直した
- 祖母がスマホの文字が読みにくいと言うので、読み上げツールを作った
これらは技術的には難しくありません。でも面接で「なぜ作ったのか」を聞かれたとき、5 分でも 10 分でも詰まらずに話せます。
逆に弱いのは、チュートリアルをなぞっただけのものや、テーマだけ流行りに合わせたものです。「なぜそれを?」の一問目で止まります。
原則 2:誰か一人でもいいから、使ってもらう
作って終わりにせず、必ず誰かに使ってもらってください。
家族でも、友達でも、部活の先輩でも構いません。使ってもらうと、必ず想定外のことが起きます。
- 押すと思っていたボタンを押してもらえない
- 入力してほしくない値を入力される
- そもそも起動の仕方がわからないと言われる
この「想定外」こそが、志望理由書と面接でいちばん語れる材料になります。
改善のサイクルを回した経験があるかどうかは、話せばすぐにわかります。
原則 3:作りながら記録を残す
高 3 の夏に過去を思い出そうとしても、細部は消えています。だから作りながら記録を残す。
- ソースコードは GitHub に置き、こまめにコミットする(活動の時系列がそのまま残ります)
- 詰まったこと・調べたこと・解決策を、簡単な開発ログに書く
- 動いている画面のスクリーンショットや動画を撮っておく
活動報告書を書く段階になったとき、この記録があるかどうかで作業時間が 10 倍変わります。面接で「そのとき何を調べましたか」と聞かれたときも、記録があれば具体的に答えられます。
京都大学 工学部 情報学科の特色入試のように、コンピュータプログラムそのものの添付や、OSS 活動の説明、競技プログラミングのレーティング提示を受け付ける入試もあります。記録が残っていれば、そのまま提出資料になります。
「AI に書かせた作品」はどう扱うか
いま避けて通れない論点なので、触れておきます。
大学側は、すでに明確な方針を出し始めています。慶應 SFC の 2026 夏秋 AO 募集要項には、次のように書かれています。
生成 AI をもちいた情報収集と自身の来歴や経験を掛け合わせながら思考を深めることで、初めてあなた自身の考えが形成・醸成されていくのです。したがって、(中略)生成 AI を自身の学びを深めるためのひとつの補助的ツールとして利用することはかまいませんが、出願時に提出が求められている「志望理由」「入学後の学習計画」「自己アピール」「任意提出資料」について、生成 AI によって生成されたものを受験生独自の成果物とはみなしません。
(出典:慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部 2026 夏秋 AO 入試 募集要項、2026 年 8 月 7 日確認)
現実的な線引きはこうです。
- AI に相談しながら書く、詰まったところを聞く:学習の補助としては認められている。ただしなぜそのコードで動くのかは自分で説明できる状態にしておく
- 出願書類そのものを生成させる、作品を丸ごと生成させて中身を理解していない:独自の成果物とみなされず、面接でも崩れる
使った場合は、面接で「どこを AI に任せ、どこを自分で判断したか」を正直に言えるようにしておくほうが、はるかに印象が良くなります。
実績はどう作る? 高校生が挑めるコンテスト
作品を「実績」に変える最短ルートが、コンテストへの参加です。高校生が挑める主要なものを、2026 年度の日程とあわせて整理します。
コンテスト | 対象 | 2026 年度の日程 | 特徴 |
|---|---|---|---|
高校 3 年生以下 | 参加申込 7/1〜10/22/一次予選 9/12・10/25/二次予選 11/29/セミファイナル 2027 年 1/24・1/31/ファイナル 2027 年 3/20〜24 | 競技プログラミングの全国大会。予選・本選のランクがそのまま実績になる。一次・二次予選は参加費無料 | |
高校生・高専生(3 年生まで) | 参加申込 8/10 まで延長/予選 9/13(在籍校で実施、3 時間)/本選 11/7・11/8(会津大学) | 2 人 1 組で競う。本選出場は 30 チーム程度。ほかにモバイル部門(アプリ開発)、ポスタービジュアルコンテストもある | |
22 歳以下(学生は 28 歳以下) | 応募 7/1〜8/31/最終審査会 11/29 | 作品提出型。最高賞は経済産業大臣賞(賞金 50 万円)。ジャンル・言語は不問で、自作アプリをそのまま出せる | |
17 歳以下 | 応募締切 2026 年 3 月 28 日/プロジェクト期間 6 月〜11 月 | メンターがつき、開発資金を最大 50 万円支援。優秀者は未踏ジュニアスーパークリエータに認定され、慶應 SFC の 1 次選考免除などの対象になる |
(各コンテスト公式サイト、2026 年 8 月 7 日確認。日程は変更される場合があるため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください)
「作品型」と「競技型」は、どちらを選ぶか
コンテストは大きく 2 種類あります。
- 競技型(JOI、パソコン甲子園プログラミング部門):与えられた問題をアルゴリズムで速く正確に解く。ランク・順位という形で客観的な実績が残る
- 作品型(U-22、パソコン甲子園モバイル部門、未踏ジュニア):自分で作ったものを提出する。志望理由書のストーリーにそのまま使える
情報系学部の総合型選抜を狙うなら、まず作品型に出すのが現実的です。すでに作っているものをそのまま応募できるうえ、審査コメントがもらえれば、それ自体が改善のきっかけになります。
競技型は、アルゴリズムの学習に一定の時間が必要です。ただし東京都立大学の科学オリンピック入試のように、JOI の予選 A ランク以上が出願資格そのものになる入試もあるため、難関大の情報系を狙うなら早めに始める価値があります。
なお、JOI 2026/2027 からは一次予選の開催回数が 2 回に減り、二次予選進出基準やセミファイナル進出者の決定方法も変更されています。前年度予選 B ランク以上の者への優遇措置も廃止されました。参加を考えているなら、必ず実施要領を読んでください。
実績づくりは「高 2 まで」がタイムリミット
ここが最重要です。
総合型選抜の出願は、多くの大学で高 3 の 9 月上旬。一方で主要コンテストの結果が出るのは、次のとおりです。
- JOI 二次予選:11 月末(高 3 の 9 月出願には間に合わない)
- パソコン甲子園 本選:11 月上旬(同上)
- U-22 最終審査会:11 月末(同上)
- 未踏ジュニア成果報告会:11 月(同上)
つまり、高 3 で参加したコンテストの結果は、その年の総合型選抜の出願書類には基本的に間に合いません。
書類に書ける実績を作るなら、高 1・高 2 のうちに参加しておく。これが唯一の現実解です。高 3 の 4 月に「そろそろ実績を作らないと」と気づいた時点では、選択肢がかなり狭まっています。
資格も実績になる(しかも入試の得点になることがある)
コンテスト以外に、情報系の国家資格という選択肢もあります。近畿大学 情報学部が出願条件の例に「情報処理技術者試験合格者(IT パスポートは除く)」を挙げているとおり、資格は明確に実績として扱われます。
さらに福山市立大学 情報工学部では、基本情報技術者試験または応用情報技術者試験に合格していると、共通テスト「情報Ⅰ」の得点が満点とみなされます(みなし得点を使う場合も情報Ⅰの受験は必要)
(出典:福山市立大学「2027年度(令和9年度)入学者選抜要項【情報工学部】」、2026 年 8 月 7 日確認)。
資格は、コンテストと違って受験時期を自分で選べるのが利点です。作品づくりと並行して進めやすく、活動報告書にも書けます。
志望理由書・面接では何を語ればいい?
作品と実績が揃ったら、次は「伝え方」です。ここで差がつきます。
語る順番は「動機 → 課題 → 工夫 → 失敗 → 接続」
うまくいく人は、だいたいこの順番で話しています。
- 動機:何に困って、何を作ろうと思ったのか
- 課題:作る過程で、いちばん難しかったのは何か
- 工夫:それをどう調べ、どう解決したのか
- 失敗:うまくいかなかったこと、今なら別のやり方をすること
- 接続:だから大学で何を学びたいのか
4 の「失敗」を飛ばさないでください。ここを語れる受験生は多くありません。
「動くようになりました」で終わる話より、「この設計にしたせいでデータが壊れて、作り直した」という話のほうが、はるかに説得力があります。
よくある 3 つの失敗
失敗 1:機能一覧を読み上げてしまう
「ログイン機能があって、投稿機能があって、通知機能があって……」。これは仕様書の朗読であって、あなたの話ではありません。聞き手が知りたいのは、機能ではなく判断です。
失敗 2:実績を大きく見せようとする
「全国大会に出場しました」の実態が予選参加だった、というのは面接ですぐにわかります。実績は正確に書き、その代わり中身の密度で勝負する。予選 C ランクでも、そこから何を学んだかを語れれば十分に評価されます。
失敗 3:大学と接続していない
作品の話が上手でも、「その大学でなければならない理由」がないと弱いです。志望学部のカリキュラム、研究室のテーマ、開講科目まで調べて、自分の作品の延長線上にある学びを具体的に指す。ここは調べればできる部分なので、やらない理由がありません。
口頭試問は「技術的に踏み込まれる前提」で
近畿大学 情報学部の第 2 次審査(プレゼンテーション・口頭試問)や、東京都立大学の「面接(口頭試問を含む)」のように、作品や知識について技術的な質問が飛ぶ入試は珍しくありません。
想定しておくべき質問の例です。
- そのデータはどこに、どういう形で保存していますか
- 同じ処理を書き直すなら、どこをどう変えますか
- 使っているライブラリは、なぜそれを選びましたか
- 動かなかったとき、どうやって原因を特定しましたか
これらは普段から自分で手を動かしていれば答えられる質問ばかりです。逆に言えば、口頭試問はそのための確認です。付け焼き刃では通りません。
学年別のロードマップ
時期 | やること |
|---|---|
高 1 | とにかく 1 つ作り切る。規模は小さくてよい。GitHub にコードを置く習慣をつける |
高 2 の春〜夏 | 作品型コンテスト(U-22 など)に応募する。未踏ジュニアを狙うなら 3 月の締切から逆算して提案書を準備 |
高 2 の秋〜冬 | JOI 予選に参加してランクを取る。並行して志望校の総合型選抜の要項を読み、出願資格・評価項目を確認 |
高 3 の 4〜6 月 | 志望理由書・活動報告書の初稿を書く。作品を「説明できる状態」に整える(README、デモ動画) |
高 3 の 7〜8 月 | 書類を推敲し、面接・プレゼンの練習。この時期に新しい作品を作り始めない |
高 3 の 9〜12 月 | 出願・選考・合格発表。並行して一般選抜と共通テストの対策を止めない |
総合型選抜だけに賭けない
最後の行が重要です。
総合型選抜は、合格すれば早く決まりますが、落ちたときに一般選抜まで 2 か月半しかありません。9 月〜11 月に受験勉強を完全に止めてしまうと、そこから戻すのは相当きついです。
現実的なのは、総合型選抜の準備を進めながら、共通テストの学習ペースは落とさないという組み方です。とくに情報Ⅰは出題範囲が限られていて、コツコツ進めれば時間対効果が高い科目なので、並行しやすい部類に入ります。
情報Ⅰの力は、結局どこでも効いてくる
プログラミングを武器にする受験生ほど、共通テストの情報Ⅰを軽く見がちです。
しかし、令和 8 年度(2026 年 1 月実施)の情報Ⅰの平均点は 56.59 点で、令和 7 年度の 69.26 点から 12.67 点下がりました(出典:大学入試センター「共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)」)。対策した人としない人の差が、そのまま点差になる科目になっています。
さらに、広島市立大学 情報科学部(後期)のように情報の配点が総合点の半分以上を占める大学もあります。総合型選抜が不本意な結果になったとき、情報Ⅰが得点源になっていれば、一般選抜での出願戦略の幅が大きく変わります。
- 共通テストの情報Ⅰ対策については情報I(共通テスト)対策の塾の選び方
- 情報の配点が高い大学については広島市立大学 情報 対策
なお、共通テストのプログラミング問題は Python などの実際の言語ではなく、試験用に定められた表記で出題されます。ただし変数・分岐・繰り返し・配列といった考え方は共通なので、普段からコードを書いている人にとっては明確に有利な科目です。
備後圏(福山・府中)で総合型選抜を目指すには?
地方では「作品を見てもらえる相手」が少ない
総合型選抜の対策塾は都市部に集中しています。
加えて、プログラミング作品を武器にする場合、コードを読んでフィードバックできる人が必要になります。
備後圏(福山・府中・尾道など)で、この 2 つを両方満たす相手を見つけるのは簡単ではありません。
現実的な選択肢は 3 つです。
選択肢 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
総合型選抜専門塾(オンライン中心) | 志望理由書・面接の指導ノウハウが蓄積されている | 技術的な中身の妥当性までは踏み込めないことが多い |
地域の総合塾 | 他教科とまとめて相談できる | 情報系の総合型選抜の実績があるかは要確認 |
プログラミング教室 | 作品づくりとコードのレビューができる | 出願書類・面接まで見るかは要確認 |
Sandbox の中高生コースでできること
Sandbox の中高生コースは府中校とオンライン校のどちらでも受講でき、現役のソフトウェアエンジニアである代表が直接コーチングを担当しています。
総合型選抜を見据える場合、次のような形で伴走します。
- 志望校の総合型選抜の要項を一緒に読み、出願資格と評価項目を洗い出す
- 「何を作るか」をゼロから一緒に決め、完成まで伴走する
- 書いたコードをレビューし、詰まったところを一緒に解く
- コンテスト応募(U-22・パソコン甲子園・JOI など)のスケジュールを逆算して組む
- 作品を説明できる状態に整える(README・デモ動画・開発ログ)
- 並行して共通テスト「情報Ⅰ」の対策を進める
参考として、中高生コースの料金は次のとおりです(いずれも税込、入会金・基本教材費・教室の PC 利用料なし)。
プラン | 月額 |
|---|---|
コーチング 月 1 回 | 11,000 円 |
コーチング 月 3 回 | 16,500 円 |
コーチング 月 5 回 | 22,000 円 |
料金やプランは変更される場合があるため、申し込み前に最新の料金をご確認ください。
一方で、志望理由書の添削や面接練習を専門的に数多くこなす総合型選抜専門塾のような形態ではありません。書類・面接指導まで手厚く任せたい場合は、専門塾との併用がおすすめです。この点は面談の段階で正直にお伝えしています。
よくある質問
Q1.プログラミング歴が浅くても、総合型選抜で戦えますか?
戦えます。評価されるのは技術の高さそのものではなく、課題を見つけて解決までやり切ったプロセスです。歴が浅いなら、小さくても完成させた作品を 1 つ用意し、その過程を語れるようにするのが最短です。
Q2.コンテストで賞を取らないとダメですか?
必須ではありません。多くの入試では、賞ではなく活動の内容と継続性を見ています。ただし、東京都立大学の科学オリンピック入試(JOI 予選 A ランク以上など)や慶應 SFC の 1 次選考免除のように、特定の成績が出願資格や免除に直結する入試もあります。志望校の要項を先に読んで、どちらのタイプかを確認してください。
なお、近畿大学 情報学部が挙げている例(JOI 予選 B ランク通過、AtCoder 茶色以上、U-22 一次審査通過、パソコン甲子園本選出場など)を見るとわかるとおり、「全国優勝」レベルが求められているわけではありません。
Q3.いつから準備を始めればいいですか?
高 1 からが理想です。出願は多くの大学で高 3 の 9 月上旬、主要コンテストの結果が出るのは 11 月以降のため、高 3 で参加したコンテストの結果は原則としてその年の出願には間に合いません。作品づくり・コンテスト参加は高 2 までに終える前提で逆算してください。
Q4.総合型選抜と一般選抜、どちらに絞るべきですか?
絞らないことをおすすめします。総合型選抜は 11 月以降に結果が出るため、落ちた場合に一般選抜まで 2 か月半しかありません。共通テストの学習ペースを落とさずに総合型選抜の準備を進めるのが現実的です。とくに情報Ⅰは範囲が限られているので、並行しやすい科目です。
Q5.Sandbox は総合型選抜の対策に対応していますか?
作品づくり・コードレビュー・コンテスト応募の逆算・共通テスト情報Ⅰ対策には対応しています。ただし、志望理由書の添削や面接練習を専門的に数多くこなす形態ではないため、そこを手厚く任せたい場合は総合型選抜専門塾との併用をおすすめしています。
まとめ
- 2025 年度の大学入学者の 19.5% が総合型選抜、学校推薦型と合わせると 53.6%。年内入試はもう主流ルート
- 2027 年度入試から、総合型選抜は面接による評価を必ず行う入試になった。作ったものを口で説明する場面が確実に用意される
- プログラミング実績が出願資格や選考免除に直結する入試は実在する(近畿大情報学部、東京都立大 CS、慶應 SFC、静岡大、京大特色入試、筑波大 AC 入試など)
- 求められる水準は「全国優勝」ではない。JOI 予選 B ランク通過、AtCoder 茶色、U-22 一次審査通過、パソコン甲子園本選出場あたりが具体的なラインとして示されている
- 作品選びの原則は「自分が困ったことから始める」「誰かに使ってもらう」「記録を残す」の 3 つ
- 語る順番は 動機 → 課題 → 工夫 → 失敗 → 接続。失敗を飛ばさない
- 出願は 9 月 1 日以降、判定結果は 11 月 1 日以降(文科省の実施要項による)。コンテスト結果は 11 月以降に出るため、実績づくりは高 2 までがタイムリミット
- 総合型選抜だけに賭けない。情報Ⅰの学習ペースは落とさない
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