※本記事は 2026 年 8 月時点の公開情報をもとに作成しています。2027 年度の入学試験要項は 9 月中旬発行予定のため、出願前に必ず京都産業大学の最新の入試情報をご確認ください。
「情報Ⅰが得意でも、大学入試で使える場面は共通テストくらい」——京都産業大学を志望するなら、その前提は捨ててください。
結論から言うと、次の 3 点です。
- 京産大には、大学が独自に作成する「情報」の試験を課す 情報プラス型 がある。一般選抜前期日程で 情報理工学部は 400 点満点中 200 点(50%) が「情報」
- ただしこれは独立した入試方式ではなく、スタンダード 2 科目型(英語・数学)への出願が前提の併願オプション。英数を捨てて情報だけで勝負することはできない
- 出題は 記述式・80 分。共通テストのマーク演習だけでは形式が合わない。大学が過去問と出題意図を 2 年分公開しているので、対策の起点はそこ
この記事では、情報プラス型の仕組み・配点・出題内容・2026 年度の実際の倍率まで、大学公式の資料をもとに整理します。
情報プラス型は「方式」ではなく「併願オプション」
まず仕組みを正確に押さえます。大学の説明は次のとおりです。
京都産業大学では、情報分野の素養のある学生を受け入れることを目的として、公募推薦入試と一般選抜入試[前期日程]において、「情報」を試験科目とした併願制度「情報プラス型」を実施しています。
スタンダード2科目型(英語・数学)による合否判定に加えて、「情報」の試験を行い、3科目(英語・数学・情報)で合否判定します。
(出典:京都産業大学「情報プラス型」、2026 年 8 月 8 日確認。以下の配点・試験内容も同ページによる)
ポイントは 3 つあります。
- スタンダード 2 科目型への出願が必須。情報プラス型だけを単独で受験することはできません
- 併願できるのは同一学部・学科のみ。「スタンダードは理学部、情報プラス型は情報理工学部」といった組み方はできません
- 一般選抜での対象は 理学部・情報理工学部のみ(2027 年度時点)
つまり、英語と数学で 2 科目型に挑戦しつつ、同じ学科をもう 1 回、情報を足した 3 科目で判定してもらえる制度です。英数の出来に不安がある受験生にとっては、実質的な「敗者復活枠」として機能します。
配点:情報理工学部は 400 点中 200 点
学部 | 英語 | 数学 | 情報[情報Ⅰ] | 満点 | 情報の比率 |
|---|---|---|---|---|---|
情報理工学部 | 100 | 100 | 200 | 400 | 50.0% |
理学部 | 100 | 100 | 100 | 300 | 33.3% |
情報理工学部は、英語と数学を合わせた 200 点と、情報 200 点が同じ重み。 総合点の半分が 1 科目で決まる入試は、私大でもそう多くありません。
英語・数学の点数は、スタンダード 2 科目型で受験した成績がそのまま使われます。追加で受けるのは「情報」1 科目だけです。
なお、理学部と情報理工学部で 問題は同一、配点だけが異なります。理学部志望でも情報理工学部志望と同じ問題を解くことになります。
合否判定については次のように明記されています。
スタンダード2科目型と同様に情報科目についても得点調整を行います。受験者を学部・学科別にまとめ、総合点(理学部300点満点/情報理工学部400点満点)で合否を判定します。
得点調整があるため、素点がそのまま持ち点になるとは限らない点は頭に入れておいてください。
独自試験「情報」の中身:記述式・80 分
ここが対策の本丸です。共通テストとの最大の違いは形式にあります。
1. 解答方法は記述式
大学が公開している 2026 年度の問題冊子に明記されています。
■理学部・情報理工学部のみ出願可。解答方法は、記述式
共通テストの情報Ⅰは全問マークですが、京産大の一般選抜「情報」は記述式です。選択肢から選ぶのではなく、自分で書く。ここが最大のギャップになります。
2. 試験時間は 80 分、試験日は前期日程の最終日
情報の試験時間は 80 分(15:10〜16:30)。2027 年度の前期日程は 1 月 26 日〜29 日に実施され、うち 1 月 29 日(金)は 2 科目型のみ。
情報プラス型が出願対象とするスタンダード 2 科目型はこの 1 月 29 日の実施です(2026 年度の問題冊子の表にも、試験日として「前期日程」「1/29(情報プラス型)」と記載)。
英語・数学を受けたその後の時限で情報を受験する 1 日完結型になります。
3. プログラムは独自の擬似言語で書かれる
プログラミングに関する問題および解答において、独自の記法を用いてプログラムを記述します。以下はその(疑似言語による)例示です。
Python や JavaScript などの実在言語の知識は前提とされていません。
ただし共通テストの擬似言語(DNCL)とも異なる独自記法なので、公開されている例示に事前に目を通しておくことは必須です。
4. 2026 年度は 5 大問構成
大問 | 分野 | 配点 |
|---|---|---|
Ⅰ | コンピュータやデジタル処理の基本的な理解 | 18 |
Ⅱ | プログラミング | 17 |
Ⅲ | プログラミング(バケットソートが登場) | 27 |
Ⅳ | データ操作・分析(データベース) | 19 |
Ⅴ | データ操作・分析(情報読み取り) | 19 |
※ 問題冊子の表に載っているのは大問番号と配点だけです。分野名は出題意図の本文に「コンピュータやデジタル処理の基本的な理解(Ⅰ)、プログラミング(Ⅱ・Ⅲ)、データ操作・分析(Ⅳ・Ⅴ)」とまとめて示されています。括弧内の題材は、出題意図と入試対策欄の記述(Ⅲのバケットソートは入試対策欄、ⅣのデータベースとⅤの情報読み取りは出題意図欄)から補ったものです。
問題冊子上の配点合計は 100 点です。これが入試配点では理学部 100 点(等倍)・情報理工学部 200 点(2 倍相当)として扱われます。
プログラミング 2 題で 44 点、データ操作・分析 2 題で 38 点。合わせて 82 点が「手を動かす領域」です。情報デザインや情報社会の問題解決といった、共通テストで一定の比重を占める単元は、この年は独立した大問になっていません。
(出典:京都産業大学「2026 年度 一般選抜入試 情報」、2026 年 8 月 8 日確認)
大学が「何を見たいか」を公表している
京産大の親切なところは、問題だけでなく 出題意図と対策アドバイスまで公開している点です。ここを読まずに対策を始めるのは損です。
出題分野について、大学は次のように説明しています。
昨年同様、理学部および情報理工学部向けの問題として、両学部に重要な幾つかの領域に絞り込んで出題しています。つまりコンピュータやデジタル処理の基本的な理解(Ⅰ)、プログラミング(Ⅱ・Ⅲ)、データ操作・分析(Ⅳ・Ⅴ)です。
そして対策については、こう書かれています。
まず教科書で基本的なコンピュータの構造や技術要素を押さえておくのが良いでしょう。プログラミング問題では経験や慣れもさることながら、概念やアルゴリズムの提示(説明)に対する読解力と、その理解に基づいた思考力が重要です。
2026 年度に新しく登場したデータベースの大問についても、注記があります。
今回新しい要素としてⅣにデータベースを取り上げましたが、実際のデータベース操作経験がなくても概念的な理解があれば手順を追って正答できるでしょう。
「経験や慣れ」より「読解力と思考力」と大学自身が言い切っています。
裏を返せば、知らないアルゴリズムが出ても、その場で説明を読んで理解できれば解ける設計です。バケットソートを暗記していた受験生が有利なのではなく、その場で仕組みを読み取れる受験生が有利ということです。
2026 年度の実績:倍率 4.5 倍、合格最低点 259 点
都合のいい数字だけでは判断できないので、実際の結果も見ておきます。
2026 年度 一般選抜前期 情報プラス型 | 志願 | 受験 | 合格 | 倍率 | 合格最低点 |
|---|---|---|---|---|---|
情報理工学部 情報理工学科 | 110 | 107 | 24 | 4.5 | 259 / 400 |
理学部(3 学科合計) | 16 | 16 | 4 | — | — |
(出典:京都産業大学「2026 年度 一般選抜入試 情報プラス型 入試結果」、2026 年 8 月 8 日確認)
情報理工学科の合格最低点は 400 点中 259 点(約 65%)、倍率は 4.5 倍。決して楽な枠ではありません。
さらに正直に書いておくと、情報プラス型に独立した募集人員は設定されておらず、「若干名」とされています。一般選抜前期・中期の募集人員は入試制度ごとの志願者数の割合で配分される仕組みですが、情報プラス型と小論文プラス型はその例外扱いになっています。
(出典:京都産業大学「2027 年度 募集人数」、2026 年 8 月 8 日確認)情報プラス型を主戦場と考えるのではなく、スタンダード 2 科目型で正面から勝負しつつ、情報でもう一枚チケットを持つという位置づけが現実的です。情報理工学科の一般選抜前期の募集人員は 57 名(2027 年度)なので、本命は依然としてこちらです。
時期別の対策ロードマップ
高 1・高 2
- 情報Ⅰの授業を暗記科目にしない。特に プログラミングとデータの活用は、配点の 8 割超を占める領域です
- 実際にコードを書いて動かす。出題意図にある「概念やアルゴリズムの提示に対する読解力」は、自分でプログラムを書いた経験がある人ほど早く育ちます
- 英語・数学は通常どおり進める。情報プラス型はスタンダード 2 科目型が土台なので、英数が崩れると制度そのものが使えません
高 3 の春〜夏
- 共通テスト「情報Ⅰ」の演習で全範囲を一周する
- 大学公開の過去問 2 年分(2025 年度・2026 年度)を必ず解く。現時点で最も精度の高い教材です。なお過去問題集のダウンロードページには前年度分しか掲載されないため、2025 年度分は「情報プラス型」の特集ページから入手してください
- 記述式であることを踏まえ、処理の流れや理由を文章で書く練習を始める
高 3 の秋(9〜11 月)
- 9 月中旬に 2027 年度の入学試験要項が発行されます。配点・試験日・出願方法の確定版はここで確認してください
- 公募推薦入試を受けるなら、11 月 21 日(土)の情報プラス型も選択肢に入ります(後述)
- アルゴリズムの「初見耐性」を鍛える。ソート・探索・データベースの基本操作を、説明文から追える状態にしておく
直前期(12 月〜1 月 29 日)
- 共通テスト後、前期日程 1 月 29 日(金)までは約 2 週間。この期間は過去問の再演習と擬似言語の記法確認に絞る
- 英数のスタンダード 2 科目型と同日程なので、体力配分も想定しておく
情報Ⅰの学習法の全体像は情報I(共通テスト)対策の塾の選び方を、国公立で情報の配点が突出している例は広島市立大学 情報科学部の入試対策をご覧ください。立命館大学の独自「情報」入試についても記事を用意しています(公開後にリンク挿入)。
公募推薦の情報プラス型は 2027 年度から全学部・学環に
一般選抜とは別に、公募推薦入試にも情報プラス型があります(2026 年度入試から導入)。そして 2027 年度入試から、対象が 全学部・学環に拡大 されます。
一般選抜版との違いは次のとおりです。
一般選抜[前期日程] | 公募推薦 | |
|---|---|---|
対象 | 理学部・情報理工学部 | 全学部・学環(2027 年度〜) |
解答方法 | 記述式 | マーク式(2026 年度問題冊子の記載。※1) |
試験時間 | 80 分 | 45 分 |
情報の配点 | 情報理工 200 点 / 理学部 100 点 | 情報理工 200 点 / 他学部・学環 100 点 |
試験日(2027 年度) | 1 月 29 日(金) | 11 月 21 日(土) |
※1 公募推薦の「マーク式・45 分」は、2026 年度公募推薦「情報」問題冊子の「解答方法は全試験日、すべてマーク式で試験時間は 45 分です。」という記載に基づく実績です。2027 年度の公式ページでは試験時間 45 分(15:25〜16:10)までは確認できますが、解答方法の明記は見当たりません。要項で確認してください。
文系学部志望でも、情報Ⅰを武器にできるルートが年内入試に開いたということです。マーク式・45 分と、一般選抜版より共通テストに近い形式なので、共テ対策の延長線上で戦えます。
よくある質問
Q1.情報プラス型だけを受験できますか?
できません。スタンダード 2 科目型(英語・数学)への出願が必須で、併願先は同一学部・学科に限られます。英語・数学の成績はスタンダード 2 科目型のものがそのまま使われます。
Q2.共通テストの情報Ⅰ対策だけで戦えますか?
土台にはなりますが、形式が違います。共通テストは全問マーク、京産大の一般選抜「情報」は記述式です。またプログラムの記法も大学独自のもので、共通テストの擬似言語とは異なります。公開されている過去問 2 年分で形式に慣れることが最優先です。
Q3.プログラミング未経験でも間に合いますか?
大学は「プログラミング問題では経験や慣れもさることながら、概念やアルゴリズムの提示(説明)に対する読解力と、その理解に基づいた思考力が重要」と説明しています。高度な言語知識は要求されていません。ただし配点の 44 点がプログラミングなので、避けて通ることはできません。高 2 のうちから手を動かしておくのが安全です。
Q4.過去問はどこで手に入りますか?
大学公式サイトで公開されています。2025 年度(初年度)と 2026 年度の一般選抜「情報」の問題、および 2026 年度公募推薦の「情報」の問題が入手可能で、出題意図・対策アドバイス・正解まで含まれています。市販の対策本がまだ存在しない科目なので、これが実質的な唯一の教材です。
なお、大学が実施している入試対策講座(英語・国語・数学)に、2026 年 8 月時点で「情報」の講座は用意されていません。過去問の読み込みは自力またはスクール・塾で進める必要があります。
Q5.2027 年度も同じ内容で実施されますか?
一般選抜の情報プラス型は、対象学部(理学部・情報理工学部)・配点・試験時間とも 2027 年度の公式ページに同内容で掲載されています。ただし確定版である入学試験要項は 9 月中旬発行予定 のため、出願前に必ず最新版で確認してください。なお 2027 年度の変更点として、公募推薦の情報プラス型が全学部・学環に拡大されます。
まとめ
- 京産大の 情報プラス型 は独立方式ではなく、スタンダード 2 科目型への出願を前提とした併願オプション
- 一般選抜前期の対象は 理学部・情報理工学部。情報理工学部は 400 点中 200 点(50%) が「情報」
- 出題は 記述式・80 分・5 大問。プログラミングとデータ操作・分析で 82 点を占める
- 大学が 過去問 2 年分+出題意図+対策アドバイス を公開している。対策はここから始める
- ただし 募集人員は若干名、2026 年度の情報理工は倍率 4.5 倍・合格最低点 259/400。本命はスタンダード 2 科目型に置き、情報プラス型は上乗せと考えるのが現実的
- 2027 年度からは 公募推薦の情報プラス型が全学部・学環に拡大。文系志望でも情報Ⅰが武器になる
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