※本記事は 2026 年 8 月時点の公開情報(立命館大学「入試ガイド 2027」および公式公開資料)をもとに作成しています。2027 年度一般選抜の入学試験要項は 2026 年 11 月公開予定のため、出願前に必ず立命館大学の最新の入試情報をご確認ください。
「情報Ⅰは共通テストで 100 点分しか使えない科目」——そう思っている受験生は、立命館大学の入試をまだ見ていません。
結論から言うと、次の 3 点です。
- 立命館大学の一般選抜には、大学が独自に作成する「情報」を課す 学部個別配点方式(情報型) がある。2027 年度は 8 学部で実施
- 産業社会学部は 500 点中 200 点(40.0%)、経営学部経営学科は 370 点中 150 点(40.5%)が「情報」。国語・英語と並ぶ、あるいはそれを上回る主力科目になる
- ただし独自試験「情報」は共通テストと別物。マークだけでなく記述(数値・式の記入)があり、擬似言語のプログラムを 20 箇所読み解く大問も出る(80 分)
この記事では、情報Ⅰの比重が高い学部を中心に、配点・2026 年度本試験の出題構成・時期別の対策手順を、大学公式の資料をもとに整理します。
「情報型」は方式名ではなく、学部個別配点方式の中の「型」
まず名称を正確に押さえます。立命館大学に「情報型入試」という独立した方式があるわけではありません。従来からある 学部個別配点方式 の中に、2026 年度から次の 2 つの型が加わりました。
- 情報型文系:英語 + 国語 + 情報
- 情報型理系:英語 + 数学 + 情報
大学の公式説明は次のとおりです。
2026年度一般選抜入学試験において、本学が独自に問題を作成する「情報」科目を課す入学試験方式「学部個別配点方式(情報型文系/情報型理系)」を一部の学部・学科で実施します。
(出典:立命館大学「一般選抜『情報』の本学独自入試の導入について」、2026 年 8 月 8 日確認)
情報型文系は 地歴・公民・数学が不要、情報型理系は 理科が不要 です。「歴史の暗記は苦手だが、プログラミングは書ける」というタイプの受験生にとって、これは単なる 1 方式の追加ではなく、受験科目の組み替えそのものを意味します。
情報Ⅰの比重が高いのはこの学部
2027 年度の情報型文系 5 学部の配点です。産業社会学部は 2027 年度からの新規導入です。
学部・学科 | 英語 | 国語 | 情報 | 満点 | 情報の比率 |
|---|---|---|---|---|---|
産業社会学部(2027 新規) | 150 | 150 | 200 | 500 | 40.0% |
経営学部 経営学科 | 120 | 100 | 150 | 370 | 40.5% |
食マネジメント学部 | 150 | 100 | 150 | 400 | 37.5% |
スポーツ健康科学部 | 100 | 100 | 120 | 320 | 37.5% |
総合心理学部 | 100 | 100 | 100 | 300 | 33.3% |
(出典:立命館大学「入試ガイド 2027」学部別ページ、2026 年 8 月 8 日確認)
経営学部経営学科は、英語 120 点・国語 100 点に対して情報 150 点。3 科目中で最も重い科目が情報です。 産業社会学部も英語・国語 150 点に対して情報 200 点。この 2 学部では「英語で稼いで情報で守る」ではなく、情報で稼ぐ設計が成立します。
なお、経営学部で対象となるのは 経営学科のみで、国際経営学科は情報型の対象外です。ここを取り違えると出願できません。
一方、情報型理系(デザイン・アート学部/映像学部/情報理工学部)は英語 150・数学 150・情報 100 の 400 点満点で、情報の比率は 25.0% です。3 学部とも配点は共通で、数学のみ 100 分(2 時限 13:10〜14:50)、出題範囲は理系範囲(数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B〈数列〉・C〈ベクトル、平面上の曲線と複素数平面〉)です。情報理工学部を志望する場合、情報型は「数学で勝負しきれない分を情報で補う」位置づけになり、文系学部ほど情報が主役にはなりません。
国語については、情報型文系を実施する 5 学部すべてで「漢文の独立問題は出題しません」と明記されています(立命館全体では文学部のみ例外で、漢文の独立問題が現代文 1 題との選択で出題されます。文学部は情報型を実施していません)。
独自試験「情報」の中身:80 分・文理共通問題
ここが対策の本丸です。押さえるべき事実は 3 つ。
1. 試験時間は 80 分、出題範囲は情報Ⅰの全般
範囲の絞り込みはありません。公式ページも「試験本番では、出題範囲である『情報Ⅰ』の内容全般からの出題になります」としています。
2. 情報型文系と情報型理系で、問題は同一です
「情報型文系」、「情報型理系」ともに「情報」の出題範囲は「情報Ⅰ」であり、試験問題は同一です。
(出典:立命館大学「一般選抜『情報』の本学独自入試の導入について」、2026 年 8 月 8 日確認)
つまり 文系志望でも、情報理工学部志望者と同じ問題を解くということです。「文系だから易しめ」は成立しません。
なおこの記述は 2026 年度入学者向けページのものです。入試ガイド 2027 には「同一問題」という明示はなく、「本学独自試験は、同じ入学試験方式であれば全学部で出題形式・問題傾向を統一している」(p.4)という書き方に留まっています。2027 年度分は要項公開後に確認してください。
3. 2026 年度本試験は、マーク+記述の混在だった
大学が公開している講評 PDF によると、2026 年 2 月 7 日に実施された「情報」の構成は次のとおりです。
大問 | 内容 | 形式 | 配点 |
|---|---|---|---|
Ⅰ | 情報技術全般 | マークと記述を併用 | 30 |
Ⅱ | アルゴリズム(組合せ最適化) | マークと記述を併用 | 25 |
Ⅲ | モデル化(状態遷移) | マーク | 20 |
Ⅳ | プログラミング(プログラムの作成能力) | マーク | 25 |
大問Ⅰの対象範囲は、コンピュータ、ネットワーク、情報セキュリティ、情報表現、情報デザイン、データの活用、論理回路と広範です。
そして出題の基本方針が、対策の方向性をそのまま示しています。
用語暗記を確認する類の出題は控えめに、与えられた問題文から読解力と論理的思考力に基づいていかに解を求められるかを問う出題に重点を置いた。
プログラミングでは、プログラムの基本構造として、順次実行、選択(分岐)、反復(繰り返し)の概念、およびそれらの記述方法を理解しておくことが必須である。変数、代入、配列、関数といったプログラムの基本要素についても十分に学習しておくことが望まれる。
(出典:立命館大学「情報」出題方針と学習のポイント、2026 年 8 月 8 日確認)
一問一答型の用語暗記では届かない、と大学自身が宣言しています。
試作問題を見れば、必要な深さがわかる
大学は本試験に先立ち、試作問題(全 22 ページ)を公開しています。中身は次のようなものでした。
- Ⅰ:ネットワーク(IP アドレス・DNS・ルータ)/情報セキュリティ(機密性・完全性・可用性、共通鍵暗号、総当たり攻撃)/データ分析(尺度水準・ヒストグラム・箱ひげ図・代表値)/論理回路(真理値表)
- Ⅱ:列車の並べ替え(スタック的なアルゴリズム)
- Ⅲ:カラオケルーム予約の最適化
- Ⅳ:気温・湿度から天気を予測するプログラムと、混同行列(TP / FP / FN / TN)
(出典:立命館大学「情報」試作問題、2026 年 8 月 8 日確認)
プログラムは実在言語の指定がなく、日本語ベースの擬似言語で書かれています(共通テストの DNCL 系表記と同系統ですが、公式資料に「共通テストに準拠」といった記載はありません)。関数 tenki_yosoku(kion,shitsudo)、もし kion > 25 ならば:、i を ○ まで 1 ずつ増やしながら繰り返す: といった形です。配列の添字は 0 から始まる旨も問題文に明記されています。
共通テスト「情報Ⅰ」の対策をしていれば、記法そのものは初見ではありません。差がつくのは、与えられた設定を読み取ってアルゴリズムを組み立てる部分です。混同行列を扱う設問など、教科書の章末問題より一段深い理解を要求してきます。
なお、試作問題の大問Ⅲは「データの活用」で 4 大問すべてがマークと記述の併用でしたが、2026 年度の本試験ではⅢが「モデル化」に変わり、Ⅲ・Ⅳはマークのみでした。試作問題と本試験の構成は同じではありません。両方に目を通しておくのが安全です。
時期別の対策ロードマップ
高 1・高 2
- 学校の情報Ⅰの授業を「暗記科目」として処理しない。ネットワーク・セキュリティ・データ分析は、仕組みを説明できるレベルまで理解する
- プログラムを実際に書いて動かす。Ⅳのプログラミング 25 点は、コードを読んだことがある人とない人で差が最も出る領域です
- 英語・国語(または数学)は通常どおり進める。情報型は 3 科目型なので、1 科目でも穴があると挽回できません
高 3 の春〜夏
- 共通テスト「情報Ⅰ」の演習で、全範囲を一度通す
- 並行して 2026 年度の本試験問題・解答例・試作問題に目を通す。いずれも大学公式サイトで公開されています(過去問題・講評/解答例の公開は 2027 年 3 月中旬まで)
- 出題方針にある「読解力と論理的思考力」を鍛えるには、長い問題文から条件を整理する練習が有効です
高 3 の秋(9〜11 月)
- 11 月に 2027 年度一般選抜の入学試験要項が公開されます。配点・募集人員の確定版はここで必ず確認する
- 記述対策を始める。2026 年度本試験の記述は「適当な数値または式を記入せよ」という形式(大問Ⅰ、3】の 2 箇所と大問Ⅱの 6 箇所)。選択肢に頼らず、自力で計算・立式できるようにしておく
- 併願プランを固める。学部個別配点方式は 同一試験日に複数の型を併願できません(情報型を選ぶなら、その日は文系型や理科型と重ねられない)
共テ後〜2 月 7 日
- 学部個別配点方式の試験日は 2 月 7 日(情報は 3 時限 15:40〜17:00)
- 共通テスト「情報Ⅰ」の手応えが良かったなら、そのまま独自試験へ接続する。範囲は同じ情報Ⅰなので、共テ対策の蓄積がそのまま活きる数少ない方式です
情報Ⅰの学習法の全体像は情報I(共通テスト)対策の塾の選び方を、国公立で情報の配点が突出している例は広島市立大学 情報科学部の入試対策をご覧ください。
よくある質問
Q1.情報型は 2027 年度も実施されますか?
実施されます。「入試ガイド 2027」には「立命館大学の独自試験の出題傾向は2027年度も過年度から大幅な変更はありません」と記載されており、既存 7 学部の配点・試験時間にも変更は確認できませんでした。加えて産業社会学部が情報型文系を新規導入し、8 学部体制になります。ただし確定版の入学試験要項は 2026 年 11 月公開予定のため、出願前に最新版で確認してください。
Q2.共通テスト「情報Ⅰ」の対策だけで戦えますか?
土台にはなりますが、それだけでは不足します。共通テストは全問マークですが、立命館の独自試験は 2026 年度本試験で大問Ⅰ・Ⅱに記述解答が含まれました。ただし記述の中身は「適当な数値または式を記入」であり、長文論述ではありません。選択肢に頼らず自力で数値や式を導く練習を積んでください。
Q3.文系ですが、プログラミング未経験でも間に合いますか?
問題は情報型文系・理系で同一なので、プログラミングを避けて通ることはできません。ただし出題は「プログラムの基本構造(順次・分岐・反復)」「変数・代入・配列・関数」といった基礎の運用力を問うもので、高度な言語知識は要求されていません。高 2 のうちから週に数時間コードを書く習慣があれば十分に射程内です。
Q4.過去問は手に入りますか?
手に入ります。2026 年 2 月 7 日実施分の 試験問題本体・解答例・講評(出題方針と学習のポイント)がいずれも大学公式サイトで公開済みです。本試験の大問Ⅱはドローンの積載(組合せ最適化)、Ⅲは電卓操作の状態遷移図、Ⅳは鉄道の乗車料金を計算するプログラムでした(【1】〜【4】で 4 つの関数を穴埋めし、【5】で環状線化に伴う距離計算の関数を作り直す設定)。これに試作問題 PDF を加えた 2 セットが、現時点で最も具体的な教材です。
Q5.独自試験の「情報」以外に、立命館で情報Ⅰを使う方法はありますか?
あります。共通テスト併用方式の「情報活用型」では、本学独自試験に加えて共通テスト「情報Ⅰ」を 100 点として使用します。情報活用型(文系)は英語 100+国語 100(近代以降の文章のみ)+共通テスト情報Ⅰ 100 の 300 点満点で、産業社会学部・経営学部経営学科・映像学部・食マネジメント学部が実施(試験日は 2 月 8 日・9 日)。情報理工学部の情報活用型(理系 3 教科)は英語 100+数学 200+情報Ⅰ 100 の 400 点満点で、試験日は 2 月 8 日のみです。さらに共通テスト方式では、薬学部 3 教科型を唯一の例外として、全学部・全型で情報Ⅰが高得点採用の対象科目群に入っています(例:法学部 3 教科型は、外国語 200 点・国語 200 点に加えて、数学・公民・地歴・理科・情報から高得点 1 科目を 200 点として採用する 600 点満点)。2027 年度からは産業社会学部の 3 教科型にも「情報」が追加されました。情報Ⅰを仕上げておくと、立命館内で複数の出願ルートが同時に開く構造です。
まとめ
- 立命館大学の「情報型」は独立した方式ではなく、学部個別配点方式の中の情報型文系/情報型理系。2027 年度は 8 学部で実施
- 産業社会学部 200/500 点(40.0%)、経営学部経営学科 150/370 点(40.5%)と、情報Ⅰの比重は私大でも屈指
- 独自試験「情報」は 80 分・情報Ⅰ全般で、情報型文系・理系で出題形式と問題傾向は統一。2026 年度本試験はマーク中心で、記述は数値・式の記入
- 大学は「用語暗記は控えめ、読解力と論理的思考力を重視」と明言。手を動かしてコードを書いた経験が効く
- 2026 年度の本試験問題・解答例・講評・試作問題はすべて公開済み。まずこの 2 セットを解くのが最短ルート
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