※本記事は 2026 年 8 月時点の公開情報(令和 9 年度 入学者選抜に関する要項、2026 年 7 月 30 日公表)をもとに作成しています。
一般選抜の学生募集要項は 2026 年 11 月下旬公表予定のため、出願前に必ず広島大学の最新の学生募集要項をご確認ください。
「広島大学の情報科学部を目指したい。情報Ⅰはどれくらい対策すべき?」
配点を調べると、答えははっきり分かれます。
- 前期日程:共通テスト「情報Ⅰ」は 100 点。総合 2,200 点のうち 100 点(約 4.5%)
- 後期日程:共通テスト「情報Ⅰ」は 400 点。共テ 1,600 点のうち 400 点(25%)で、英語と同じ重み
- 年内入試(学校推薦型Ⅰ型):45 名を共通テストなしで募集。推薦要件に情報オリンピックや U-22 プログラミング・コンテストが明記されている
つまり、広島大学 情報科学部で「情報」が効くのは、前期ではなく後期と年内入試です。この記事では、各方式の配点と、備後圏(福山・府中)からめざす場合の対策の進め方を解説します。
広島大学 情報科学部とは
東広島キャンパスにある情報科学部 情報科学科(入学定員 180 名)です。学科は 1 つで、入学後に教育プログラムへ分かれます。
募集人員の内訳は次のとおりです。
選抜区分 | 募集人員 |
|---|---|
一般選抜 前期日程 | 115 名 |
一般選抜 後期日程 | 15 名 |
総合型選抜 Ⅱ型(共通テストを課す) | 5 名 |
学校推薦型選抜 Ⅰ型(地方創生枠・共通テストを課さない) | 45 名(一般枠 30・女子枠 15) |
(出典:広島大学「令和 9 年度 入学者選抜に関する要項」、2026 年 8 月 7 日確認。以下の配点・選抜方法も同要項および各学生募集要項による)
まず目を引くのが、学校推薦型選抜Ⅰ型の 45 名という規模です。定員 180 名の 4 分の 1 が、共通テストを課さない年内入試で決まります。後期日程の 15 名より、はるかに大きい枠です。
前期日程:情報Ⅰは 100 点。正直、比重は小さい
前期日程は出願時に A 型・B 型のいずれかを選びます(受験上の区分で、入学後の配属とは無関係です)。
共通テスト(1,000 点)
教科 | A 型 | B 型 |
|---|---|---|
国語 | 200 | 200 |
地歴・公民 | 200(2 科目) | 100(1 科目) |
数学(数ⅠA・数ⅡBC) | 200 | 200 |
理科 | 100 | 200(2 科目) |
外国語 | 200 | 200 |
情報(情報Ⅰ) | 100 | 100 |
個別学力検査(1,200 点/A 型・B 型共通)
教科 | A 型の範囲 | B 型の範囲 | 配点 |
|---|---|---|---|
数学 | 数Ⅰ・Ⅱ・A・B・C | 数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C | 800 |
外国語 | 英・独・仏・中から 1 | 同左 | 400 |
総合 2,200 点のうち、情報Ⅰは 100 点(約 4.5%)。共通テスト内で見ても 10% です。
数学が共テ 200 点+個別 800 点= 1,000 点で、総合点の約 45% を占めます。
前期日程は、どこからどう見ても数学勝負の入試です。
情報Ⅰの対策に時間を割きすぎるのは、前期狙いなら得策ではありません。
なお、情報科学部には第 1 段階選抜(いわゆる足切り)の予告はありません。
前期の試験日は 2027 年 2 月 25 日、合格発表は 3 月 8 日です。
後期日程:情報Ⅰが 400 点。英語と同じ重み
一転して、後期日程は情報Ⅰの比重が跳ね上がります。
共通テスト(3 教科 4 科目・1,600 点)
教科 | 科目 | 配点 |
|---|---|---|
数学 | 『数Ⅰ,数A』『数Ⅱ,数B,数C』各 1 | 800 |
外国語 | 英・独・仏・中・韓から 1 | 400 |
情報 | 『情報Ⅰ』 | 400 |
個別学力検査等:面接のみ 100 点(科学技術への関心、論理的思考力、学習意欲、適性などを総合的に評価し、点数化)
総合 1,700 点。国語・地歴公民・理科は課されません。
ここで注目すべきは 3 点です。
- 情報Ⅰが 400 点。英語とまったく同じ重みです。共通テストの 100 点満点を 4 倍換算しています
- 国語・地歴公民・理科が不要。文系科目や理科が伸び悩んでいても、数学・英語・情報Ⅰの 3 つで勝負できます
- 個別試験は面接のみ。共通テストの得点で、実質的に大半が決まります
共テ 1,600 点のうち情報Ⅰが 400 点で 25%。総合 1,700 点で見ても約 24% です。共通テストの「情報Ⅰ」100 点満点を 4 倍換算する、国公立大学のなかでも情報Ⅰを主要科目として扱う配点です。
ただし「情報Ⅰの比率が全国で一番高い」わけではありません。たとえば広島市立大学 情報科学部の後期日程は、共通テストの情報Ⅰ 200 点に加えて個別試験でも「情報」を 300 点課すため、総合 900 点中 500 点(約 56%)が「情報」です。広大の後期の特徴は比率そのものより、個別試験が面接のみで、共通テストの得点だけで実質的に決まる点にあります。
ただし、募集人員は 15 名と少なく、国公立後期の常として倍率は高くなりがちです。「情報Ⅰと数学で高得点を取れる」という手応えがある人にとっての選択肢、と考えるのが現実的です。
後期の試験日は 2027 年 3 月 12 日、合格発表は 3 月 20 日です。
前期と後期で、対策の重心はまったく変わる
同じ学部でも、前期と後期で必要な準備が大きく違います。
前期日程 | 後期日程 | |
|---|---|---|
情報Ⅰの配点 | 総合 2,200 点中 100 点(約 4.5%) | 総合 1,700 点中 400 点(約 24%) |
共テで必要な教科 | 6〜7 教科 8〜9 科目 | 3 教科 4 科目 |
個別試験 | 数学 800 点+外国語 400 点 | 面接 100 点のみ |
募集人員 | 115 名 | 15 名 |
前期を本命にするなら、まずは個別試験の数学(A 型でも 800 点)。後期を併願で押さえるなら、情報Ⅰが得点源になっているかどうかが出願判断のカギになります。
共通テストの自己採点後、「数学と情報Ⅰは取れたが、国語や理科で崩れた」という人にとって、広島大学 情報科学部の後期は相性のよい出願先です。
年内入試:情報オリンピックや U-22 が推薦要件に入っている
広島大学の年内入試は「光り輝き入試」と呼ばれます。情報科学部で実施されるのは次の 2 つです。
学校推薦型選抜Ⅰ型(地方創生枠)|45 名・共通テスト不要
定員の 4 分の 1 を占める、この学部最大の年内入試枠です。
推薦要件は 4 項目あり、そのうち (2) の内容が独特です。次の (ア)〜(エ) のいずれかに該当する必要があります。
- (ア) 令和 7 年度または令和 8 年度の情報科学部サマーキャンプを受講・修了
- (イ) JST の次世代科学技術チャレンジプログラム/グローバルサイエンスキャンパスの第一段階を修了
- (ウ) 日本情報オリンピック(JOI)または日本数学オリンピック(JMO)の参加者
- (エ) その他、U-22 プログラミング・コンテスト等、将来情報科学部で学ぶ上で役に立つ取り組みを行ったと認められる者
(出典:広島大学「令和 9 年度 学校推薦型選抜Ⅰ型 情報科学部情報科学科(地方創生枠)学生募集要項」、2026 年 8 月 7 日確認)
ここで押さえておきたいのは、(ウ) が「参加者」であって「入賞者」ではないという点です。日本情報オリンピックに参加していれば要件を満たします。プログラミングを続けてきた人にとって、これはかなり現実的なラインです。
さらに、出願時までに情報科学部が提供するオンデマンド講義「線形代数学」(90 分程度 × 15 回)を受講していることも要件です(推薦要件 (3))。受講申込は各高校を通じて行い、要項には「9 月上旬申込み受付開始予定」と記載されています。
選抜方法(400 点満点)
区分 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
出願書類 | 調査書、志望理由書、推薦書、推薦要件証明書類、オンデマンド講義レポート | 100 |
筆記試験 | オンデマンド講義(線形代数学:ベクトル、行列、行列式、連立 1 次方程式)の内容から出題 | 200 |
面接 | 情報科学科で学ぶ意欲、地域の DX 推進への興味・関心。与えられた短い英文を読み、その内容に対する質疑応答を含む | 100 |
配点の半分を占める筆記試験の出題範囲が、事前に受講するオンデマンド講義そのものという設計です。つまり、講義をきちんと理解できていれば得点できる。逆に言えば、受講を後回しにすると勝負になりません。
そのほかの主な条件は次のとおりです。
- 推薦人数は 1 校 5 名まで
- 合格した場合の入学確約が必要(実質専願。他の国公立大学の学校推薦型選抜には出願できません)
- 「ひろしま DX 人材育成奨学金」の受給を希望し、卒業後は広島県内で就職する強い意志のある者であること
- 評定平均の数値要件は設定されていません(「学力及び人物・能力・資質等において特に優れている」という定性要件のみ)
- 高校の所在地や居住地による地域制限は要項に記載がありません
- 一般枠と女子枠は併願できます。両方の合格条件を満たした場合は女子枠での合格となります
- この選抜では英語民間試験は活用されません(加点があるのは総合型選抜Ⅱ型のほうです)
出願は 2026 年 11 月 1 日〜6 日、選抜は 11 月 21 日、合格発表は 12 月 4 日です。
総合型選抜Ⅱ型|5 名・共通テストを課す
- 第 1 次選考(400 点):筆記試験 200 点+面接 100 点+出願書類 100 点。11 月 21 日実施
- 最終選考:共通テスト(A 型・B 型を選択、いずれも 1,000 点満点/情報Ⅰは 100 点)。合計が概ね 700 点以上であることが最終合格の条件
- 出願は 2026 年 10 月 2 日〜7 日、第 1 次選考合格発表 12 月 4 日、最終合格発表 2027 年 2 月 10 日
ここで見逃せないのが、令和 9 年度からの変更点です。第 1 次選考の筆記試験の内容が、次のように変わりました。
【変更前】情報科学を学ぶ上での数学の基礎知識、論理的思考力と分析力をみる問題
【変更後】情報科学を学ぶ上での数学・情報の基礎知識、論理的思考力と分析力をみる問題
(出典:広島大学「令和 9 年度入学者選抜の主な変更点」、2026 年 8 月 7 日確認)
総合型選抜Ⅱ型の筆記試験に「情報」が加わったということです。年内入試でも情報Ⅰの知識が直接問われるようになったので、Ⅱ型を狙うなら情報Ⅰの学習を前倒しする必要があります。
なお、英語民間試験で一定の等級・スコアを取得していれば、第 1 次選考の出願書類に最大 10 点が加点されます(CEFR B2 以上で 10 点、B1 で 5 点)。
備後圏からめざす場合の対策ロードマップ
高 1・高 2
- 数学を最優先。前期は個別試験の数学だけで 800 点、後期も共テ数学が 800 点。どのルートでも数学が土台です
- プログラミングは実際に書いて動かす。学校推薦型Ⅰ型の推薦要件 (エ) に直結します
- 高 2 のうちに日本情報オリンピック(JOI)の一次予選に参加する。推薦要件 (ウ) は「参加者」なので、参加した事実が要件になります。JOI は高校 3 年生以下なら参加でき、一次予選は年 2 回(2026 年度は 9 月と 10 月)実施されます
- 高 2 の夏に情報科学部サマーキャンプへ。2026 年度は 8 月に 2 日間 × 2 日程(各 180 名)で開催され、高 2 生も対象です。ただし定員を超えた場合は高 3 生・既卒生が優先されるため、高 2 での参加は確約されません。申込は高校を通じた取りまとめが必須(生徒本人から大学へ直接申し込むことはできません)なので、担任や進路担当の先生に早めに相談してください
高 3 の春〜夏
- 志望する方式を決める。前期本命なら数学、後期を視野に入れるなら情報Ⅰ、年内入試を狙うなら推薦要件の充足とオンデマンド講義の受講。それぞれ準備の中身が違います
- 学校推薦型Ⅰ型を狙うなら、オンデマンド講義「線形代数学」の受講申込(9 月上旬受付開始予定)を逃さない。高校からの申込が必要です
- 総合型選抜Ⅱ型を狙うなら、出願は 10 月上旬。志望理由書・自己推薦書の準備を夏のうちに
高 3 の秋〜共テ後
- 年内入試の結果が出るのは 12 月 4 日。ここで一般選抜の準備を止めない
- 共通テスト後、自己採点で「数学と情報Ⅰが取れている」なら、後期日程の出願を前向きに検討する。国語・地歴公民・理科が不要な配点なので、他大学の後期とは有利不利が変わります
- 後期の個別試験は面接のみ(3 月 12 日)。科学技術への関心や学習意欲を語れるよう、作ってきたものや読んできた本を整理しておく
情報Ⅰの学習法の全体像は情報I(共通テスト)対策の塾の選び方を、個別試験でも「情報」を課す大学については広島市立大学 情報科学部の記事を、2027 年 4 月開設予定の福山市立大学 情報工学部の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1.前期を狙うなら、情報Ⅰの対策はどれくらい必要ですか?
前期の情報Ⅰは総合 2,200 点中 100 点(約 4.5%)です。共通テストで平均前後を確保できれば十分で、そこに時間をかけるより個別試験の数学(800 点)を優先すべきです。ただし、後期を併願する可能性があるなら話は別で、情報Ⅰの重みは一気に 400 点になります。
Q2.後期日程の情報Ⅰ 400 点というのは、どういう計算ですか?
共通テストの「情報Ⅰ」100 点満点を 4 倍換算して 400 点としています。後期は共通テストが数学 800 点・外国語 400 点・情報 400 点の計 1,600 点、これに個別試験の面接 100 点を加えた 1,700 点満点です。
Q3.学校推薦型選抜Ⅰ型は、広島県内の高校生でないと出願できませんか?
要項には高校の所在地や居住地による制限は記載されていません。ただし「ひろしま DX 人材育成奨学金の受給を希望し、卒業後は広島県内で就職する強い意志のある者」であることが推薦要件に含まれます。進路の意向とあわせて検討してください。
Q4.情報オリンピックは、入賞しないと推薦要件になりませんか?
要項の記載は「日本情報オリンピック(JOI)又は日本数学オリンピック(JMO)参加者」です。入賞や上位ステージ(セミファイナルステージ・ファイナルステージ)への進出は求められていません。JOI の一次予選・二次予選は参加費無料(セミファイナルステージ以降は 5,000 円)なので、高 1・高 2 のうちに参加しておく価値があります。
Q5.2027 年度の配点は確定ですか?
本記事は 2026 年 7 月 30 日公表の「令和 9 年度 入学者選抜に関する要項」に基づいています。詳細の確定版である一般選抜の学生募集要項は 2026 年 11 月下旬公表予定のため、出願前に必ず最新版を確認してください。年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)の学生募集要項はすでに公表されています。
まとめ
- 広島大学 情報科学部で「情報」が効くのは、前期ではなく後期と年内入試
- 前期日程の情報Ⅰは総合 2,200 点中 100 点(約 4.5%)。数学が 1,000 点を占める数学勝負の入試
- 後期日程は共通テスト「情報Ⅰ」が 400 点で英語と同じ重み。国語・地歴公民・理科は不要、個別試験は面接 100 点のみ。ただし募集 15 名
- 学校推薦型選抜Ⅰ型(地方創生枠)は共通テスト不要で 45 名。推薦要件に情報オリンピック参加や U-22 プログラミング・コンテストが明記されている
- 同枠の筆記試験(200 点)は、事前受講するオンデマンド講義「線形代数学」から出題される
- 総合型選抜Ⅱ型は令和 9 年度から筆記試験の内容に「情報」が追加された
- 一般選抜の学生募集要項は 2026 年 11 月下旬公表予定。出願前に必ず最新版を確認
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