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問題解決の手順とPDCA|KJ法・ガントチャート・PERT図【情報Ⅰ】

文:野澤 嘉孝 (ソフトウェアエンジニア/プログラミングスクール Sandbox 代表)

問題解決の手順とPDCA|KJ法・ガントチャート・PERT図【情報Ⅰ】

この記事の概要

「会議で何も決まらない。やっと決まったのに、今度は準備が進まない……」 そんなときは、気合いを入れる前に、どこで止まっているかを確かめましょう。 問題解決は、理想と現状の差を明らかにし、解決案を選んで実行し、結果を確かめる取組です。 先に結論:決める・進める・見直すを分けよう

「会議で何も決まらない。やっと決まったのに、今度は準備が進まない……」

そんなときは、気合いを入れる前に、どこで止まっているかを確かめましょう。
問題解決は、理想と現状の差を明らかにし、解決案を選んで実行し、結果を確かめる取組です。

先に結論:決める・進める・見直すを分けよう

  • 決める:目標と条件をそろえ、案を出して比較する。
  • 進める:必要な作業と順番を整理し、担当と期限を決める。
  • 見直す:結果を目標と比べ、次に変えることを決める。

この記事では、文化祭の準備を例に、発想法・PDCA・工程管理の使いどころを学びます。後半では、作業が全部で17日分あっても、並行して進めれば最短9日で終わる理由を計算してみましょう。

動画で復習する人は、情報Ⅰサバイバルの再生リストも活用してください。

3週間決まらない会議、足りないのはアイデア?

放課後、文化祭実行委員会の3回目の会議。

ユウキ「……なんか意見ある人?」
ハルカ「去年と同じでよくない?」

また決まらず、ついには多数決でお化け屋敷に決定しました。ところが文化祭まであと2週間。積まれた段ボールを前に、誰も動けません。

Sandy「ちょお待ちぃ! 今回は犯人がおらんのに、しっかり詰んどるやん。」

これは動画内の架空の物語です。問題はメンバーの能力だけではなく、目的も比較の基準も作業の順番も、十分に共有していなかったことでした。

「意見が出ない」と「決まったのに動けない」では、必要な対処も違います。まず、どこで止まっているかを見ていきましょう。

問題解決の手順:理想と現状の差から始める

ここでは、問題を「理想・あるべき姿と、現状とのギャップ」と捉えます。 「困った」で止めず、どうなれば解決なのかを言葉にします。

文化祭の理想と現状の差と、問題の明確化から実行・評価までの5段階

理想と現状を言葉にし、必要に応じて前の段階に戻ります。

文化祭なら、次のように整理できます。

  • 理想:予算5,000円以内で、残り2週間で作れ、全員が関われる出し物にする。
  • 現状:案はあるが、どの条件で選ぶかが曖昧。決定後の役割分担もない。
  • 埋めたい差:条件に合う案を選び、準備を始められる状態にする。

進め方の一例は、①問題の発見・明確化、②情報の収集、③整理・分析、④解決案の検討・決定、⑤実行と評価です。資料によって段階の分け方は違います。

一直線に進むとは限らず、調べて初めて問題の捉え方が変わることもあります。必要なら前の段階に戻りましょう。

翌日、ユウキは「お化け屋敷に決めたけれど、本当にこの予算と期間で作れる? 今日は条件に照らして見直そう」と議題を示しました。

ハルカ「……お、なんかできる人みたい。」

条件を比べ直した結果、出し物は脱出ゲームに変更。ここからは、この脱出ゲームの試作と準備を例に考えます。

案を選ぶ前には、予算・準備期間・参加しやすさなどの評価基準を共有します。多数決も使えますが、条件に合わない案が票だけで通ってしまわないよう、先に比較することが大切です。基準は必ず3つ、という決まりではありません。

PDCA:Checkは評価、Actは改善

PDCAは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)を繰り返す考え方です。

脱出ゲームの試作で計画・実行・評価・改善を繰り返すPDCAの流れ

結果を目標と比べる評価と、方法を見直す改善を分けます。

脱出ゲームの試作品で考えてみましょう。

段階

文化祭の例

Plan

1組5分以内を目標に構成を計画し、時間と参加者の感想を記録すると決める

Do

試作品を作り、友達に遊んでもらう

Check

実測は7分。記録と感想から、説明で迷っていたことが分かる

Act

説明を短くして案内を追加し、次の試行で確かめる

Checkは、数字を測ることだけではありません。目標と結果を比べ、ずれの原因や得られたことを検討する段階です。Actでは、その評価を踏まえて方法を変えたり、うまくいった方法を定着させたりします。

「楽しかった」で終わらず、「何を変えるか」まで決めると、次の試行につながります。

ブレスト・KJ法・ロジックツリーを使い分ける

案を出す、情報をまとめる、大きな問題を分解する。それぞれに役立つ道具があります。

ブレーンストーミング、KJ法、ロジックツリーの目的の比較

案を出す、意味をまとめる、要素を分けるという目的に合わせて選びます。

困っていること

使う道具

何をする?

案が出ない

ブレーンストーミング

すぐに否定せず、案をたくさん出す

情報が散らばっている

KJ法

カードの内容からまとまりと関係を見いだす

問題や作業が大きすぎる

ロジックツリー

枝分かれさせ、考えやすい要素に分ける

3つを必ず順番に使う必要はありません。いまの困りごとに合わせて選びましょう。

ブレーンストーミング:出す時間には批判を控える

基本の4原則は、批判厳禁、自由奔放、質より量、結合・便乗です。人の案をヒントにしたり、複数の案を組み合わせたりすることも歓迎します。

「暗い教室」「謎解き」「クラス全員で役を分ける」といった案を、すぐに否定せず出してみます。実現性の検討は後の時間に分けます。

批判を控えるのは案を出す段階の進め方で、最後まで検討しなくてよいという意味ではありません。

KJ法:情報からまとまりと関係を見いだす

KJ法は、川喜田二郎が考案した方法です。情報をラベルやカードにし、内容に即してグループをつくり、表札を付け、関係を図解・文章化していきます。

先に「飲食・展示・体験」という箱を固定して振り分けるのではなく、カードを読み合い、「怖いけれど、みんなが参加できる」といった意味のまとまりを探るのがポイントです。

段階数の暗記より、情報を無理に既存の枠へ押し込めないことが大切です。似ていないカードを無理に一緒にする必要もありません。

ロジックツリー:大きな問題を分解する

ロジックツリーでは、一つの問題から枝を分け、原因、構成要素、解決策などを整理します。たとえば脱出ゲームの準備を「内容制作」「会場準備」「当日運営」へ分け、さらに具体的な作業に分解します。

MECEは「漏れなく、重複なく」という点検の観点です。同じ階層で分ける基準をそろえ、担当が二重になったり必要な作業が抜けたりしていないか確認します。

現実の原因が必ずきれいな一つの木に収まるわけではありません。枝を描けたことだけで分析が正しいと考えず、情報や関係者の意見と照合しましょう。

ガントチャート:いつ何をするかを共有する

脱出ゲームに出し物を変更しても、準備が自動で進むわけではありません。ハルカの次の一言で、また止まります。

ハルカ「……で、いつまでに何ができてればいいの?」
ユウキ「……えっ。」
Sandy「決めるんと、間に合わせるんは別の仕事やで。」

ガントチャートは、縦に作業、横に時間を取り、作業の期間を横棒で表す図です。

謎の作成からリハーサルまで6作業を最速9日で進めるガントチャート

予定の期間に、担当者や実績などを加えて共有します。

予定を並べると、同時に進める作業や、担当者が忙しくなる時期が見えます。進捗を管理するには、予定だけでなく実績、完了率、担当者なども加えます。

予定の横棒だけでは、実際にどこまで終わったかは分かりません。実績も書き込み、予定との差を確かめましょう。

図

まず読み取りたいこと

ガントチャート

いつ、どの作業を進める予定か

PERT図などの工程ネットワーク

どの作業が終わると、次を始められるか

これは主な見方の違いです。工程管理ツールによっては、ガントチャートにも作業の依存関係やクリティカルパスを表示できます。

PERT図:前の作業が終わらないと始められない関係

PERT図などの工程ネットワークは、作業の前後関係と所要時間を整理するのに役立ちます。
この記事では、丸を結合点、矢印を作業とするアローダイアグラムで表します。

印刷と小道具の両方を待って設営する6作業のアローダイアグラム

矢印は作業、丸は結合点。設営は印刷と小道具の両方が終わるまで待ちます。

6つの作業は、次の条件で進めるとします。

作業

日数

開始前に終えておく作業

謎の作成

4日

なし

印刷

2日

謎の作成

小道具づくり

5日

なし

宣伝

3日

なし

設営

2日

印刷と小道具づくりの両方

リハーサル

1日

設営と宣伝の両方

この例では、日数は固定で、並行して作業する人手や設備は足りると仮定します。学校の休日などの違いも考慮しません。現実に同じ人が全作業を担当するなら、この図の通りには同時進行できない場合があります。

アローダイアグラムでは、日数0の破線で前後関係だけを表すダミー作業を使うこともあります。ただし今回の6作業では不要です。

なお、PERTという手法と、矢印で作業を表す描き方は、厳密には同じ概念ではありません。ここでは初学者向けに、この表記に絞って工程を読みます。

クリティカルパス:最長経路が全体の最短日数を決める

クリティカルパスは、このような基本的な工程ネットワークで、開始から終了までの所要時間が最も長い経路です。

3経路の日数9日・8日・4日を比較し最長経路が全体の最短日数を決める図

作業時間と依存関係が固定なら、全体の最短所要日数は9日です。

まず、開始から終了までの各経路の日数を足します。

経路

日数の合計

比較結果

A:謎の作成→印刷→設営→リハーサル

4+2+2+1=9日

最長なのでクリティカルパス

B:小道具づくり→設営→リハーサル

5+2+1=8日

Aより1日短い

C:宣伝→リハーサル

3+1=4日

Aより5日短い

次に、合流するところでは、必要な作業がすべて終わるまで待つと考えます。

設営は、印刷と小道具の両方を待ちます。印刷が終わるのは開始から6日後、小道具は5日後なので、設営を始められるのは6日後。その2日後に設営が終わり、リハーサル1日で、全体は9日になります。

「最長なのに最短?」と感じたら、並行できる仕事は並行しても、順番につながった9日分の仕事は残ると考えましょう。全部を足した17日ではなく、この条件では最速9日です。

Sandy「この条件やと、謎づくりからリハまでの9日分は順番待ちや。宣伝だけ早めても、全体は9日のままなんやな。」

ただし、9日は作業時間や依存関係を固定した場合の下限です。人員追加などで謎の作成自体を短縮できる、作業の前後関係を見直せる、といった場合は再計算します。「人を増やしても絶対に短縮できない」という意味ではありません。

クリティカルパスが複数ある場合もあります。最長経路を好きに1本決めるのではなく、工程全体から求めるものです。

練習:1日延びると、全体が10日になる作業は?

上の工程で、次の変更が一つだけ起きたとします。どれが全体を9日から10日に延ばすでしょう。本記事のオリジナル学習例で、実際の共通テスト問題ではありません。

  • A:宣伝が3日から4日になる。
  • B:小道具づくりが5日から6日になる。
  • C:印刷が2日から3日になる。

答えはCです。 印刷が3日になると、謎4日+印刷3日で設営開始は7日後。設営2日とリハ1日を足すと10日です。

Aは、宣伝が4日で終わっても設営終了の8日後まで待つため、全体は9日のまま。Bも、小道具が6日で終われば印刷と同時にそろうため、全体は9日です。ただしBでは余裕がなくなり、クリティカルパスが増えます。

同じ「1日の遅れ」でも影響は違います。予定が変わったら、経路も確認し直しましょう。

まとめ:手が止まったら、進め方を確認しよう

  • 問題は、理想と現状の差として具体化する。
  • 案を出す時間と、基準で絞る時間を分ける。
  • PDCAでは、評価を次の改善につなげる。
  • ガントチャートで時期を共有し、工程ネットワークで依存関係を確かめる。
  • クリティカルパスは計算して求め、条件が変われば見直す。

物語では、議題と条件を最初に示した会議で、30分で案が決まりました。これは「型を使えば必ず30分で解決」という保証ではありません。大切なのは、決まらない理由を気合いだけで片づけず、目的・情報・比較基準・段取りを見直せることです。

自分のアプリやゲームを作るときにも、何を作るか決め、試し、改善する流れが役立ちます。プログラミングスクールSandboxでは、作品づくりに取り組みたい人に向けた案内を掲載しています。

参考資料

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野澤 嘉孝

この記事を書いた人

野澤 嘉孝

ソフトウェアエンジニア/プログラミングスクール Sandbox 代表

ソフトウェアエンジニア。同志社大学理工学部を経て、京都大学大学院で核融合発電の基礎研究(プラズマ物理)に従事。高校生向け数学塾の講師、大学での物理実験の授業を通じて延べ500名以上の学生をサポート。現在は業界特化型SaaSの開発に携わりながら、小中高生向けプログラミングスクール Sandbox を運営。

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