高校 情報Ⅰ 学習ガイド

高校「情報Ⅰ」を、どこからどう学ぶか

情報Ⅰは、プログラミングだけの科目ではありません。4つの分野で何を学ぶのか、どの順番で進めるのか、つまずいたときに何から手をつけるのかを整理しました。入試での扱いを知りたい場合は、このページから大学入試のガイドへ進めます。

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30秒でわかる情報Ⅰ

  • 情報Ⅰは、すべての高校生が学ぶ共通必履修科目です。2022年度に入学した高校生から必履修になりました。
  • プログラミングは情報Ⅰの一部であって、科目全体ではありません。プログラミングだけを勉強しても、情報Ⅰ全体はカバーできません。
  • 情報デザイン、情報通信ネットワーク、データの活用なども扱います。社会の中での情報技術の使われ方や、情報モラル・セキュリティも範囲です。
  • 学習を始めるときは、まず学校の進度と自分の苦手分野を確認してください。進度も教材も高校ごとに違うため、ここを飛ばすと授業とずれた勉強になります。

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情報Ⅰの4分野から学ぶ

情報Ⅰの内容は、次の4分野に分かれています。区分と名称は文部科学省の学習指導要領によるもので、教科書の章立てもこれに対応しています。苦手なところを探すときは、まずどの分野の話なのかを決めてください。

(1) 情報社会の問題解決

何を学ぶ分野か
情報技術が社会をどう変えたか、個人情報・知的財産・著作権の扱い、情報セキュリティ、そして「問題を見つけて解決する手順」そのものを学びます。
よくあるつまずき
用語を覚えるだけになり、実際の出来事と結びつかないまま終わりやすい分野です。
最初に何をするとよいか
教科書に出てくる用語を1つ選び、自分が知っているニュースやサービスに当てはめて言い換えてみてください。言い換えられない用語が、理解できていない用語です。

(2) コミュニケーションと情報デザイン

何を学ぶ分野か
メディアごとの伝わり方の違い、文字・音・画像をデジタルで表す仕組み、そして相手に合わせて情報を設計する考え方を学びます。
よくあるつまずき
「見た目を整えること」だと理解してしまうと、なぜその表現にしたのかを説明できなくなります。
最初に何をするとよいか
身近な案内表示やアプリの画面を1つ選び、「誰に」「何を」伝えるためのものかを先に書き出してから、配置・色・図の理由を言葉にしてみてください。

(3) コンピュータとプログラミング

何を学ぶ分野か
コンピュータが数値を扱う仕組み、アルゴリズムとプログラム、モデル化とシミュレーションを学びます。二進数や論理回路もこの分野です。
よくあるつまずき
コードを書いた経験がないまま、コードを読む問題に取り組む状態になりやすい分野です。
最初に何をするとよいか
短いプログラムを実際に動かし、1行進むごとに変数の値を紙に書き出してください。読むだけでは追えない処理も、値の変化を書けば追えるようになります。

(4) 情報通信ネットワークとデータの活用

何を学ぶ分野か
ネットワークとプロトコルの仕組み、情報セキュリティ、データベース、データの収集・整理・分析までを学びます。
よくあるつまずき
ネットワークは全体像が図として描けず、データ活用は表計算の操作と統計用語が別々の知識になりがちです。
最初に何をするとよいか
ネットワークは、自分のスマホがWebページを表示するまでを「端末→ルータ→サーバ」の順に図で描いてみてください。データ活用は、10行程度の小さな表を自分で作り、平均や中央値を計算するところから始めます。

4分野の区分と、それぞれで扱う内容の出典は文部科学省の 高等学校学習指導要領(平成30年告示) 高等学校学習指導要領解説(情報編) です。実際に扱う順番や教材は高校ごとに異なるため、学校の教科書とシラバスもあわせて確認してください。

情報Ⅰの学習順序

分野の順番に前から解いていくより、次の順で進めるほうが手戻りが少なくなります。

  1. 学校の教科書と、現在の進度を確認する

    情報Ⅰは高校ごとに教科書も進度も違います。まず「いまどの分野をやっているか」「どの分野が終わったか」を書き出してください。ここが全部の起点になります。

  2. 用語だけでなく、仕組みを理解する

    用語の暗記は短時間で崩れます。「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるかを基準にしてください。説明できない用語が、そのまま復習すべき場所です。

  3. プログラミングとデータ活用は、実際に手を動かす

    この2分野は読むだけでは身につきにくい領域です。短いプログラムを動かす、小さな表を自分で作って計算する、といった作業を挟んでください。

  4. 間違えた理由を、分野別に記録する

    「知識が足りなかったのか」「問題文を読むのに時間がかかったのか」を分けて記録します。分野ごとに集めると、次に何をすべきかが自分で決められます。

  5. 大学入試で使う場合だけ、共通テスト形式へ進む

    共通テスト形式の演習は、分野ごとの理解が固まってからで間に合います。順番を逆にすると、解けない原因が知識なのか読み方なのか判別できません。

情報Ⅰだけに時間を使いすぎないよう気をつけてください。入試で使う場合は、志望校・学部・入試方式ごとに情報Ⅰの配点が違うため、先に配点を確認してから学習時間の上限を決めます。配点の調べ方と大学ごとの例は 大学入試「情報Ⅰ」完全ガイド にまとめています。

よくあるつまずき

情報Ⅰでよく相談を受ける5つの状態について、原因の見立てと、最初にやることを書きます。

二進数や論理演算が暗記になっている

原因の見立て
変換の手順だけを覚え、桁が何を表しているかを飛ばしている状態が考えられます。
最初の対処
4桁程度の小さな数で、十進数と二進数を手で往復してください。桁の重み(8・4・2・1)を書いてから変換すると、手順ではなく仕組みとして残ります。

疑似言語の処理を順番に追えない

原因の見立て
1行ずつ読むのではなく、コード全体を眺めて意味を推測してしまっている可能性があります。
最初の対処
変数の名前を並べた表を作り、1行実行するごとに値を書き換えてください。分岐や繰り返しで値がどう変わるかが目に見えます。

IPアドレスやネットワークの仕組みが図として理解できない

原因の見立て
用語を単語として覚えていて、通信の流れの中でどこに位置するかが結びついていない状態です。
最初の対処
身近な通信を1つ選び、登場するもの(端末・ルータ・サーバ)を左から順に並べ、間に何が流れるかを矢印で書いてください。用語は図の上に置いて覚えます。

表計算の式と統計用語が結びつかない

原因の見立て
関数の使い方と、統計用語の意味を、別々に覚えてしまっていることが考えられます。
最初の対処
自分で作った小さな表で、平均・中央値・最大値を「手計算」と「関数」の両方で出してください。同じ数になることを確かめると、式が用語の言い換えだと分かります。

情報デザインが「見た目を整えること」だけになっている

原因の見立て
目的と受け手を決める前に、配色やレイアウトから考え始めている状態が考えられます。
最初の対処
作る前に「誰に」「何を」「どう行動してほしいか」を1文ずつ書いてください。その3文が、あとで表現を選ぶときの判断基準になります。

ここに挙げた原因の見立ては、Sandboxが指導の中で見ている傾向であって、調査や統計にもとづく数値ではありません。すべての生徒に当てはまるものでもないので、自分の状況と照らして読んでください。

定期テストと共通テストの違い

同じ情報Ⅰでも、問われ方が違います。まずは違いだけ押さえてください。

定期テスト
学校の進度、使っている教科書、授業で扱った内容が中心です。範囲が区切られているぶん、授業のたびに理解を固めておけば対応できます。
共通テスト
複数の分野をまたぐ長い問題文や資料を読み、共通テスト用に定義された疑似言語のコードを追う力が必要です。知識があっても、読むのに時間がかかると得点になりません。

共通テストでの出題のされ方、大学ごとの配点、いつから何を対策するかは 大学入試「情報Ⅰ」完全ガイド で解説しています。

FAQ

高校「情報Ⅰ」の学習について、よくある質問

Q. 情報Ⅰはプログラミングだけの科目ですか?
いいえ、プログラミングは4分野のうちの1つです。情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザイン、コンピュータとプログラミング、情報通信ネットワークとデータの活用を扱います。プログラミングが苦手でも、他の分野で得点できる科目です。
Q. 情報Ⅰはどこから勉強すればよいですか?
学校の教科書と、いま授業がどこまで進んでいるかの確認からです。情報Ⅰは高校ごとに進度と扱う教材が違うため、市販の参考書から始めると授業とずれることがあります。進度を確認したうえで、苦手な分野を先に決めてください。
Q. プログラミング未経験でも学べますか?
学べます。情報Ⅰは特定の言語の文法を覚える科目ではなく、変数・条件分岐・繰り返しといった考え方を扱うためです。ただし読むだけでは処理を追いにくいので、短いプログラムを動かす時間を早めに取ってください。
Q. 定期テストと共通テストでは勉強法が違いますか?
違います。定期テストは学校の授業と教科書の範囲が中心なのに対し、共通テストは複数分野をまたぐ長い問題文や資料を読む力が必要になるためです。まず定期テストで分野ごとの理解を固め、入試で使う場合だけ共通テスト形式に進んでください。
Q. 情報Ⅰは独学できますか?
用語や仕組みの理解は独学でも進みます。一方でプログラミングとデータの活用は、書いたものが動かないときに自分では原因を切り分けにくい領域です。手が止まる時間が続くようなら、質問できる相手を用意してください。

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野澤 嘉孝

この記事を書いた人

野澤 嘉孝

ソフトウェアエンジニア/プログラミングスクール Sandbox 代表

ソフトウェアエンジニア。同志社大学理工学部を経て、京都大学大学院で核融合発電の基礎研究(プラズマ物理)に従事。高校生向け数学塾の講師、大学での物理実験の授業を通じて延べ500名以上の学生をサポート。現在は業界特化型SaaSの開発に携わりながら、中高生向けプログラミングスクール Sandbox を運営。

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