「100万回も再生されているし、映像もリアル。これ、本当だよね?」
そう思ってシェアする前に、確かめたいことがあります。
情報の信頼性とは、その情報がどれくらい信用できるかということです。
再生数や映像のリアルさだけでは判断できません。
先に結論:広める前に、出どころと根拠を確認しよう
- 誰が、いつ伝えた情報かを確かめる。
- 元の発表や記録を探し、別の情報源でも裏付けを取る。
- 確認できなければ、「まだ分からない」と共有を保留する。
この記事では、隕石動画を拡散してしまったユウキの失敗を例に、具体的な確かめ方を学びます。
後半では、調べたことを掲示物にまとめるための発想法も紹介します。
100万再生の隕石動画、信じていい?
ショート動画アプリ「TokTok」で、ユウキが見つけたのは「学校の屋上に隕石が落ちた瞬間」。
火球も煙も妙にリアル。再生数は100万回。コメント欄も大騒ぎです。
ユウキ「ウチの学校じゃん! みんなに教えないと!」
ところが翌朝、ハルカから「学校が公式サイトで否定してるよ」と言われます。
Sandy「ちょお待ちぃ!……が、間に合わんかったパターンやな。」
これは動画内の架空の事件です。TokTokも架空のサービス名で、実在サービスで起きた事故の報告ではありません。
再生数は注目を集めた回数であって、情報の正しさを保証する数字ではありません。

広める前に、一度止まって裏取りを。
フェイクニュース・偽情報・誤情報の違い
「フェイクニュース」は、事実ではない内容がニュースのように伝えられる場合などに使われる言葉ですが、使われ方に幅があります。
この記事では、より区別しやすい「偽情報」と「誤情報」も使います。
用語 | 意味 | 今回の事件で考える例 |
|---|---|---|
偽情報 | 人を欺くなどの意図をもって作成・流布される、虚偽または誤解を招く情報 | CG映像を本物の事故だと偽って投稿する |
誤情報 | 誤りに気づかず共有される、虚偽または誤解を招く情報 | 本当だと信じたユウキが友達に転送する |
違いは、誤った情報だと知りながら人をだまそうとしているかです。
同じ動画でも、だます目的で投稿した人と、本当だと思って転送した人では意図が違います。
ただし、他人の意図は投稿だけでは分からないこともあります。
「悪気がなかった」場合も、拡散によって周囲を混乱させるおそれがあります。
また、AIで作った映像そのものが偽情報なのではありません。
創作と明示したCG作品やAI動画を、別の人が実際の事件として紹介すれば、説明の付け方が問題になります。
今回の事件でも、制作方法そのものより、架空の映像を実際の事故として伝えた点に注目しましょう。
情報の信頼性は4点で確かめる
発信者・日付・複数ソース・一次情報を、組み合わせて確認しましょう。

同じ投稿の転載が10件あっても、根拠は1つかも。
1.発信者:誰が、どんな立場で伝えている?
プロフィールや運営者情報を調べます。現場を見た人なのか、他の投稿を紹介しているだけなのか。
その分野の知識や、発信する目的も確認します。
「有名人だから」「フォロワーが多いから」だけで判断しないこと。
学校の公式発表に見えても、URLや普段の連絡経路から本物かを確かめます。
2.日付:投稿された日と、起きた日は同じ?
去年の災害映像に「いま起きた」と説明を付ければ、映像が本物でも受け手は誤解します。
投稿日だけでなく、撮影日、発表日、更新日、対象となる年度を確認しましょう。
3.複数ソース:それぞれ別の根拠がある?
同じ話が10サイトに載っていても、すべて1つの投稿の転載かもしれません。
数を数えるだけでなく、各記事が何を根拠にしているかを見ます。別々の取材や記録があるかがポイントです。
Sandy「コピーが増えても、証拠が増えたとは限らんで。」
4.一次情報:元の発表や記録にたどれる?
一次情報は、その出来事や調査に直接関わる人・機関が出した、元の発表や記録です。
たとえば、学校の休校なら学校の公式連絡、調査結果なら調査を行った機関の報告書や元データが当たります。
それを紹介するまとめ記事を読んだら、リンク先の元資料までたどってみましょう。
ただし、一次情報なら絶対に正しいわけではありません。
発表の範囲、記録の条件、訂正の有無も確かめます。
4点は、根拠を探すためのチェック項目です。
すべて確認しても、正しさが保証されるわけではありません。
検索で裏取りする:完全一致・除外・サイト指定・期間指定
検索条件を変えると、元の発表や関連情報を探しやすくなります。

見つからないときは、条件を緩めて探し直そう。
Google検索を例に、基本の道具を整理します。
道具 | 入力・操作の例 | 使いどころ |
|---|---|---|
完全一致 |
| 特定の語句を含む情報を探す |
除外 |
| 映画の話などを検索結果から外す |
サイト指定 |
| 指定したサイト内を探す |
期間指定 | 検索ツールで期間を絞る | ある時期の情報を探す |
site:の直後や、除外の-の直後には空白を入れません。
完全一致は長い文全体ではなく、特徴的な一部分に使うと探し直しやすくなります。
隕石の話なら、まず学校名と出来事で検索し、学校の公式サイトや公式連絡も確かめます。
結果が少なければ、語句や期間の条件を緩めます。
「検索で見つからない」は「起きていない」の証明にはなりません。
速報直後や未掲載の情報もあります。期間指定の結果も、実際の出来事の日付と一致するとは限りません。
最後はページを開いて内容を確認します。
画像・動画の逆検索で、別の使われ方を探す
逆検索は、画像を手掛かりに、同じ画像や似た画像が掲載されたページを探す方法です。

最初の投稿が必ず見つかるわけではない。
Googleレンズなどで、次のように調べます。
- 動画を一時停止し、校舎や看板などの特徴が分かる場面をスクリーンショットにする。
- その画像をGoogleレンズなどに読み込ませ、同じ画像や似た画像のあるページを探す。
- 見つかったページを開き、撮影場所・日時・作品の説明を今の投稿と比べる。
動画全体をそのまま検索するのではなく、動画の一場面を画像として調べる方法です。
たとえば「今日の日本の事故」と紹介された映像が、数年前の海外作品のページでも見つかったとします。
日時や場所の説明が食い違うなら、今の投稿を疑う根拠になります。
ただし、検索で最初に見つけたページが、本当の初出とは限りません。
非公開の投稿や削除済みのページは見つからない場合もあります。
見つからなかったことだけで、本物とも偽物とも判断しません。
指の本数や不自然な影などの見た目も手掛かりにはなりますが、それだけでAI生成かどうかを決めつけないこと。
映像と周辺の根拠を合わせて判断しましょう。
発想法の使い分け:ブレスト・KJ法・マインドマップ
ここまでは、情報が本当かどうかを確かめる話でした。
ここからは、調べたことを整理し、対策を考える方法です。
放課後、ユウキは「同じ失敗をする人を減らしたい」と、デマ対策の掲示物を作ることにしました。
でも、調べたこともアイデアもバラバラ。
ユウキ「何から書けばいいか、分からなくなった……」
Sandy「ほな、頭の中だけで頑張らんと、外に出してみよか。」
案を出すならブレスト、カードを整理して関係を探るならKJ法、連想を枝で広げるならマインドマップが役立ちます。

出す → 整理する → 広げる。順番は目的に合わせて。
方法 | 何をする? | ユウキの掲示物づくりなら |
|---|---|---|
ブレインストーミング(ブレスト) | 批判を控え、自由にたくさんの案を出す | 「確認手順のポスター」「休校デマのクイズ」などを提案する |
KJ法 | 情報をカードに書き、内容の近いものをまとめて、関係や意味を考える | 集めたカードから「確かめる」「広めない」「訂正する」などのまとまりを見つける |
マインドマップ | 中心のテーマから枝を伸ばし、関連する考えを広げる | 「デマ対策」から「学校」「災害」「画像」へ枝を伸ばし、扱う例を増やす |
ブレストの4原則は、批判禁止・自由奔放・質より量・結合便乗。
「それは無理」とすぐに否定せず、突飛な案も歓迎し、他人の案を組み合わせます。
案を出した後には、実現できるか、内容は正しいかを検討します。
KJ法では、最初から分類の箱を決めて振り分けるのではなく、カードの内容を読み、似たものを集めて表題を付け、グループ間の関係を考えます。
3つは必ずこの順番で使うものではありません。
「案が足りない」「情報が散らかっている」など、困っていることに合わせて選びましょう。
練習:同じ休校情報が3サイトに載っていたら?
これは本記事のオリジナル学習例です。実際の共通テスト問題ではありません。
「明日は休校」という投稿を調べたら、3つのまとめサイトに同じ文章がありました。
ただし、どのサイトも同じ匿名投稿を引用しています。
学校の公式連絡はまだ確認していません。次のうち、最も適切な行動はどれでしょう。
- A:3サイトで一致したので、確定情報として転送する
- B:学校の公式連絡と発表日、対象校を確かめる
- C:検索結果の一番上に出たサイトだけを信じる
答えはBです。
3サイトが同じ匿名投稿を写しているなら、独立した裏付けが3つあるわけではありません。
休校を決める学校の連絡を確認するのが適切です。検索順位も、内容の正しさを保証しません。
確認できない間は「分からない」と保留し、転送を止めます。
分からないことを、急いでどちらかに決めなくてもよいのです。
まとめ:広める前に止まり、間違えたら訂正する
- 情報の信頼性は、発信者・日付・複数ソース・一次情報を組み合わせて確かめる。
- 検索の絞り込みと逆検索は、根拠や文脈を探す道具。結果がないだけで嘘と断定しない。
- アイデアはブレスト、KJ法、マインドマップで可視化すると考えやすくなる。
もし間違えて広めたら、元の投稿を取り下げるだけでなく、同じ相手にも分かるように訂正と確認した根拠を伝えましょう。
確認に必要な時間は内容によって違います。
「30秒たったから安全」ではなく、根拠が確認できなければ共有を保留します。
Sandy「リアルに見えた、で終わらんとこ。確かめ方を持っとくんや。」
動画と合わせて学びたい人は、情報Ⅰサバイバルの再生リストも活用してください。
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参考資料
- 文部科学省:高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材 第2章:ブレインストーミング・KJ法などの発想法を参照。
- UNHCR:Distinguishing forms of speech:偽情報と誤情報の区別を確認。
- Google検索ヘルプ:検索結果を絞り込む:検索演算子の説明を確認。
- Google検索ヘルプ:画像を使って検索する:画像検索で得られる情報を確認。