「自分で作ったゲームを、誰かに遊んでほしい」
「プログラミングを勉強しているけれど、次の目標がほしい」
そんな中学生にとって、プログラミングコンテストは作品や実力を試せる機会です。ただ、大会名だけを見ても「自分のレベルで参加できるのか」「何を提出すればよいのか」は分かりにくいものです。
中学生が参加できる大会には、問題を解くタイプ、作品を提出するタイプ、アイデアを発表するタイプがあります。 ゲーム制作が好きなら作品型、パズルのような問題に取り組みたいなら競技型、と選ぶと目標を決めやすくなります。
この記事では、主要大会の応募条件と受付状況を比較し、初心者が最初の応募まで進める方法を紹介します。
※2026年10月6日時点の公開情報に基づきます。締切の時刻は日本時間です。年度や部門によって条件が変わるため、応募前にリンク先の最新要項を確認してください。
中学生が参加できるプログラミングコンテスト一覧
まずは、どんな形で参加したいかを考えながら一覧を見てください。
受付終了の大会も、次回に向けた候補として掲載しています。
次年度の開催や日程を保証するものではありません。
大会・取り組み | 形式と対象 | 2026年度の受付状況・日程 | こんな人に向いている |
|---|---|---|---|
日本情報オリンピック(JOI) | 競技型。高校3年生以下が対象で、中学生も参加可能 | 第2回申込:10月22日15:00まで/一次予選:10月25日 | 問題を解く力を試したい |
AtCoder Junior League(AJL) | 継続参加型の競技リーグ。冬は中1・中2が対象。中3は対象外 | 冬シーズン登録:2026年10月1日〜2027年1月31日/開催:2026年10月〜2027年3月 | 同学年の仲間と継続的に競いたい |
テック甲子園(旧アプリ甲子園) | 作品型・アイデア型。中学生が参加できる | プロダクト:8月30日17:00締切済/アイデア:9月28日12:00締切済 | アプリやゲーム、企画を発表したい |
U-22 プログラミング・コンテスト | 作品型。22歳以下などが対象で、中学生も参加可能。個人・団体 | 2026年8月31日締切済 | オリジナル作品を幅広い世代の中で試したい |
中高生Rubyプログラミングコンテスト | 作品型。中高生向け。Rubyを使用 | 延長後の締切:10月5日0:00。記事確認時点では締切済 | Rubyでゲームやアプリを作りたい |
U-16プログラミングコンテスト各地域大会 | 作品型・競技型など。年齢・居住地・部門は地域ごとに異なる | 地域別に確認。例:札幌大会は11月8日開催予定 | 地域の大会で作品発表や対戦を経験したい |
出典:JOI公式、AJL 2026 Winter公式、テック甲子園プロダクト部門、アイデア部門、U-22応募要項、Rubyコンテスト締切延長のお知らせ、U-16札幌大会開催概要。
JJPCは2026年度の募集情報を確認してから
「全国小中学生プログラミング大会(JJPC)」も、中学生向けの大会として知られています。ただし、今回確認した公式サイトは2024年度大会の終了案内と結果掲載が中心で、2026年度の募集要項は確認できませんでした。
過去の締切を今年のものとして使わず、次回募集の告知を待ちましょう。過去の入賞作品は、作品のテーマや見せ方を考える参考になります。
出典:JJPC公式サイト。
初心者はどのコンテストを選べばいい?
ゲームやアプリを作りたいなら「作品型」
作品型では、自分で制作したゲームやアプリなどを提出します。時間をかけて改善できるため、「試しながら作るのが好き」という人の候補になります。
初めてなら、いきなり大規模な作品を目指す必要はありません。「1分で遊べるゲーム」「自分の忘れ物を減らすチェックアプリ」のように、使う人と中心となる機能がはっきりした作品から考えてみましょう。
ただし、作品型なら何でも初心者向けというわけではありません。必要な提出物、使える言語、過去の作品を見て、今の自分に合う大会かを判断します。
問題を解くのが好きなら「競技型」
競技型では、与えられた条件を満たすプログラムを作り、正確さや処理の効率を競います。完成したゲームを提出する大会とは準備が異なります。
JOIやAtCoderに興味があるなら、まず基礎的な問題を1問解いてみましょう。「答えが合った」「別の書き方でも解けた」という感覚が楽しいなら、練習を続ける目標にできます。
最初から難問を解こうとせず、入力・出力、条件分岐、繰り返しを使う問題から始めるのがおすすめです。
まだコードを書けないなら「アイデア型」も候補
テック甲子園のアイデア部門は、プログラミング経験がなくても参加でき、企画書で審査されます。2026年度は締切済みですが、こうした形式もあることを知っておくと選択肢が広がります。
「誰の、どんな困りごとを、どう解決するか」を言葉や図にするところから取り組めます。ただし、その年度に指定された課題に沿って考える必要があります。
出典:テック甲子園・アイデア部門。
主要大会の特徴と参加方法
日本情報オリンピック|中学生も挑戦できる競技プログラミング
JOIは中学生も参加できる大会です。まだ申し込んでいない人は、2026年10月22日15:00までに参加申込を行い、10月25日14:00〜15:20の第2回一次予選に参加する流れです。今年度のJOIに申込済みの人は、再度の申込は不要です。学年に加えて生年月日などの条件もあるため、公式の応募資格を確認してください。
一次予選・二次予選は無料。セミファイナル以降は参加費5,000円で、会場への交通費なども確認が必要です。
最初の目標は「予選突破」だけでなく、「過去問を解き、競技の流れを経験する」でも構いません。公式サイトの参加申込と練習案内を確認し、事前に競技環境を試しておきましょう。
出典:第26回日本情報オリンピック、応募資格。
AtCoder Junior League|日々の練習を継続しやすいリーグ
AJLは、対象となるAtCoderのコンテスト成績を集計し、学校別・学年別のランキングを作る仕組みです。一度の作品提出で終わる大会とは異なります。
AtCoderのアカウントを作り、AJLに登録したうえで対象コンテストに参加します。2026冬の登録期間は2026年10月1日〜2027年1月31日です。中学3年生はAJL冬シーズンの対象外です。これはAJLの参加条件であり、AtCoder全体への参加を制限するものではありません。
公式ページにはC++とPythonの入門教材へのリンクもあります。問題演習の習慣を作りたい中1・中2の候補です。
出典:AtCoder Junior League 2026 Winter。
テック甲子園|アプリやゲームの体験まで磨きたい人へ
旧アプリ甲子園は、現在「テック甲子園」という名称です。一般ユーザーが利用できる状態にリリースした作品を提出するプロダクト部門と、企画書を提出するアイデア部門があります。
プロダクト部門では、機能の多さだけでなく、作る目的や操作の分かりやすさなどが審査の観点になります。ゲームなら「何が面白いのか」、アプリなら「使う人の何が変わるのか」を、実際の動作で伝える準備が大切です。
プロダクト部門は、手元で動くだけでは応募条件を満たしません。2026年度はリリース済みであることが必要で、iOS・Androidアプリにはストア審査申請中で応募できる例外と、9月4日までのリリース期限がありました。ソースコード、動画、スクリーンショット、指定形式の企画書なども必要です。
2026年度の応募は両部門とも締切済みです。次回を目指す場合は、今年の要項を参考に試作品を作り、新年度の条件が出てから応募内容を合わせましょう。
出典:テック甲子園公式、プロダクト部門、応募資格・提出物などのFAQ。
U-22|言語やジャンルの自由度が高い作品コンテスト
U-22は中学生も応募でき、個人・団体のどちらにも対応しています。プログラミング言語や作品ジャンルを限定していないため、自分が使っている技術で挑戦する候補になります。
作品本体に加え、作品情報や説明動画を使った審査があります。動くことだけでなく、「なぜ作ったか」「何を工夫したか」を伝える資料も準備します。2026年度の応募締切は8月31日で、受付は終了しています。
特に注意したいのは、同一作品を他のコンテストへ併願することが原則禁止という規定です。改変作品の例外などもあるため、複数大会への応募前に要項を読みましょう。
中高生Rubyプログラミングコンテスト|Rubyで表現する作品を募集
Rubyを使って作品を作りたい中高生向けの大会です。2026年度はゲーム、アプリ、クリエイティブコーディングの3部門があります。
締切は延長されましたが、2026年10月5日0:00です。「10月5日の夜まで」ではなく、記事確認時点では既に締切を過ぎています。
次回を考えるなら、まずRubyで小さな作品を完成させてみましょう。部門によって作品条件が異なり、2026年度のクリエイティブコーディング部門はrbCanvas/p5を使用し、テーマは「ルビー」と指定されています。募集要項を確認することが出発点です。
U-16各地域大会|年齢だけでなく居住地の条件も確認
U-16プログラミングコンテストは、各地域の大会ごとに条件を確認する必要があります。作品を発表する部門と、プログラムで対戦する競技部門を設ける大会もあります。
例えば2026年の札幌大会は11月8日開催予定で、対象は札幌市と近隣地域に住む、2027年4月1日時点で16歳以下の人です。参加費は無料で、オンライン参加にも対応しています。
ただし、オンライン対応でも全国から応募できるとは限りません。 同大会の申込欄は確認時点で準備中とされていました。自分の地域の大会について、居住地・年齢の基準日・受付開始・提出物を確認しましょう。
Scratch経験者は、次に何をすればいい?
Scratchでゲームを作っているなら、まずは「使える言語に制限がないか」「Scratch作品をどう提出するか」を応募要項で確認します。大会名に「中学生向け」とあっても、Scratchで応募できるとは限りません。
言語を急いで変えるより、今の作品に自分で考えた工夫を一つ加えることから始めてもよいでしょう。
例えば、教材どおりの迷路ゲームなら、制限時間で道が変わる、プレイヤーがステージを作れる、といった工夫です。そのうえで、必要な機能に合わせてJavaScriptやPythonなどを学ぶ道もあります。
なお、U-22のように言語を限定しない大会でも、動作環境や提出形式の条件は別にあります。不明な場合は「Scratchだから大丈夫」と判断せず、事務局へ確認してください。
中学生の作品アイデア|身近な「こうしたい」から考える
次の表は、本記事で考えた制作例です。実際の受賞作品ではありません。
出発点 | 作品アイデア | 最初に作る範囲 |
|---|---|---|
部活で練習回数を記録したい | 練習記録アプリ | 日付・練習内容・回数を入力して一覧にする |
英単語を覚えるのが退屈 | 苦手な単語を繰り返すクイズ | 10問出題し、間違えた問題だけ再出題する |
家族がごみの日を忘れる | 分別・収集日チェック | 自分の地域の1週間の予定を表示する |
ゲームの難易度を自分で調整したい | 遊ぶ人に合わせて変わるゲーム | スコアに応じて敵の速さを変える |
地元の面白い場所を紹介したい | 街の発見マップ | 自分が選んだ3地点に写真と説明を付ける |
最初は機能を絞り、誰かに使ってもらってから改善します。「家族に触ってもらったら、開始ボタンに気づいてもらえなかった。そこで表示を変えた」という経験も、作品を説明するときの具体的な材料になります。
写真・音楽・地図・公開データなどを使う場合は、利用条件と出典も整理しておきましょう。
初応募までの準備|作品型なら8週間を目安に逆算する
以下は、基礎を学んだ人が小さな作品を作る場合の計画例です。未経験なら、基礎学習の期間を別に取りましょう。
時期 | 取り組むこと | その週のゴール |
|---|---|---|
1週目 | 大会と部門を選び、応募要項を読む | 締切・提出物・使える技術をメモする |
2週目 | 使う人と作品の目的を決める | 必要な画面と機能を紙に描く |
3〜4週目 | 中心となる機能を作る | 最初から最後まで一度動かせる |
5週目 | 友人や家族に使ってもらう | 迷ったところ・不具合を記録する |
6週目 | 重要な不具合と操作性を改善する | 説明なしでも基本操作ができる |
7週目 | 指定の動画・紹介文・資料を作る | 目的・使い方・工夫を伝えられる |
8週目 | 別の環境で確認し、応募する | 提出完了画面やマイページで確認し、記録を残す |
締切直前まで新しい機能を足すと、動画や説明文が間に合わなくなりがちです。最後の1〜2週間は、動作確認と提出準備に使うつもりで計画しましょう。
競技型の場合は、作品制作ではなく「基礎学習→過去問→時間を測った練習→本番環境の確認」という順番で準備します。
保護者や先生は、どこまで手伝えばいい?
まず、大会が定める外部支援のルールを確認してください。そのうえで、締切を一緒に確認する、利用者役になって作品を試す、説明を聞いて分かりにくい点を伝える、といった関わり方が考えられます。
本人に聞きたいのは、次の3つです。
- 誰に、どう使ってほしい作品なの?
- 一番工夫したところはどこ?
- 次に直すなら、どこを変えたい?
答えに詰まったら、すぐに説明を代わりに作るのではなく、一緒に作品を動かしてみましょう。本人が選んだ理由や、つまずいた経験から説明の材料を探せます。
応募できた時点で「自分の作品を人に見せる」という一歩を踏み出しています。受賞結果とあわせて、完成させたことや改善した点も振り返ると、次の制作につながります。
中学生のプログラミングコンテストでよくある質問
プログラミング初心者でも参加できますか?
大会・部門によります。企画書で参加できるテック甲子園のアイデア部門のような選択肢もあります。作品型なら小さな作品の完成、競技型なら基礎問題への挑戦を最初の目標にすると、準備内容が明確になります。
オンラインだけで参加できますか?
予選や応募がオンラインでも、最終審査が会場開催の大会があります。参加できる地域、決勝の日程、交通費、保護者の同行の必要性まで確認しましょう。
参加費は無料ですか?
JOIは一次・二次予選が無料ですが、セミファイナル以降は有料です。U-16札幌大会のように無料と明記された大会もあります。教材費・機材費・交通費は応募費用とは別に考えておくと安心です。
同じ作品を複数のコンテストに出せますか?
大会ごとに異なります。U-22の2026年度要項には、同一作品の併願を原則禁止する規定があります。応募済み・受賞済み作品の扱いも含め、両方の要項を確認してください。
AIを使って作品を作ってもよいですか?
大会・部門の規定によります。AIの使用可否、申告方法、外部サービスの利用条件を確認してください。使える大会であっても、どの部分を自分で考え、どう検証したのかを記録し、作品の仕組みを説明できるようにしておきましょう。
高校生になってからも挑戦できますか?
高校生も対象になる大会があります。進学後は、その年度の応募資格を確認して選び直しましょう。高校生向けの大会や実績の活用については、高校生が出られるプログラミングコンテスト一覧でも紹介しています。
コンテストへの一歩は、小さな作品を完成させることから
大会選びで迷ったら、「どの大会が一番すごいか」よりも、自分は何を作りたいか、どんな挑戦をしてみたいかを先に考えてみてください。
作品を作るなら、目的を決め、動かし、人に使ってもらい、改善する。問題を解くなら、基礎を学び、解けなかった理由を振り返る。その積み重ねが、次の挑戦を支えます。
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