「神山まるごと高専に行ってみたい」。
子どもがそう話し始めたとき、何から準備すればよいのでしょうか。
数学を先取りするべきか。プログラミングを習うべきか。コンテストに出たほうがよいのか。調べるほど、必要そうなことが増えていきます。
中1・中2の今、何を進めておけば、受験直前に困らずに済むのでしょうか。
この記事の結論:先にできる準備を進め、直前期に余裕をつくる
- 数学は、数検で得点を先に確保する。 2027年度は準2級で数学の70%、2級以上で90%相当を確保できる優遇制度があります。早期取得で当日の失点リスクと直前期の負担を減らします。
- 制作・探究は、試して改善する時間を取る。 作って終わらず、人の反応や調査結果を受けて考え直す経験を積みます。
- 過程を記録し、志望理由の材料を育てる。 何に困り、何を変え、次に何を学びたいと思ったかを残します。
制度は2027年度の公式情報、準備方法はSandboxの提案です。
数検優遇の利用にも当日の数学の受験が必要です。受験する年度の要項で条件を確認してください。
入試から逆算すると、早めに進めたいことが見えてくる

2027年度の入試には、A・B・Cの3方式があります。
試験内容には共通する部分がありますが、評価の重点や提出書類、実施時期が異なります。まずは、各方式で何に取り組むのかを確認しましょう。
A・B・C方式の試験内容を比較
比較項目 | A方式 | B方式 | C方式 |
|---|---|---|---|
評価の重点 | 各項目を総合的に評価 | モノづくり力・探究力の突出した力 | 学習力 |
一次試験の提出書類 | 志望理由書・調査書・課題レポート | 志望理由書・調査書・課題レポート・推薦書 | 志望理由書・調査書・課題レポート |
一次学力試験 | 数学・国語(オンライン) | 数学・国語(オンライン) | 数学・国語(オンライン) |
二次試験 | ワークショップ・面接(会場) | ワークショップ・面接(会場) | ワークショップ・面接(会場) |
出願期間 | 2026年11月1〜10日 | 2026年11月1〜10日 | 2026年12月1〜10日 |
一次学力試験日 | 2026年11月15日 | 2026年11月15日 | 2026年12月19日 |
二次試験日 | 2026年11月28日 | 2026年11月28日 | 2027年1月9日 |
※C方式は新規受験の場合。再チャレンジ時の免除は下記を参照してください。A/B方式の一次通過者には、二次試験前のオンライン適性検査もあります。
配点を比べると、評価の違いがわかる
評価項目 | A方式 | B方式 | C方式 |
|---|---|---|---|
調査書 | 20点 | 20点 | 30点 |
志望理由書 | 30点 | 25点 | 30点 |
課題レポート | 80点 | 55点 | 70点 |
推薦書 | なし | 50点 | なし |
数学 | 40点 | 30点 | 40点 |
国語 | 30点 | 20点 | 30点 |
一次試験の合計 | 200点 | 200点 | 200点 |
二次:ワークショップ | 100点 | 100点 | 100点 |
二次:面接 | 100点 | 100点 | 100点 |
B方式では推薦書が50点を占め、制作・探究の強みについて第三者の評価も求められます。
一方、どの方式にも数学・国語と課題レポートがあり、作品だけ、学力試験だけで決まる入試ではありません。
A/B方式はプレエントリー後に学力試験の出題範囲の一部が通知され、学習を進めます。
A/B方式の二次試験は合同で実施されます。C方式の課題レポート詳細は2026年11月11日公開予定です。
併願・再チャレンジの仕組み
- A方式とB方式は併願可能。 同じ時期に受験できます。
- A/B方式の一次試験を通過後、不合格になった場合: C方式の一次試験は免除され、学校指定の個別課題(動画・小論文・学力試験のいずれか)と、ワークショップ・面接で評価されます。
- A/B方式の一次試験を通過しなかった場合: C方式の志望理由書・調査書・課題レポートの一部が免除されます。
出典:2027年度入試要項
方式の違いを、今からの準備につなげる
数検の優遇制度はA・B・C方式に共通しています。
数学の得点を早めに確保する準備と、制作・探究の経験を積む準備を並行して進めておけば、受験年度に本人の強みと各方式の条件を照らして選択しやすくなります。
入試で向き合うことと、中1・中2から進めたい準備を整理すると、次のようになります。
入試で向き合うこと | 中1・中2から進めておきたいこと |
|---|---|
国語・数学の学力試験 | 学校の学習を続け、理解があいまいな単元を残さない |
A/B方式の動画課題:入学1年目に作りたいものの試作品を作り、理由や工夫とともに紹介する | アイデアを形にし、試して直す経験を積む |
志望理由書 | 学校について調べ、自分の経験から「何を学びたいか」を考える |
ワークショップ・面接 | 他者と取り組む機会を持ち、自分の考えや行動を説明する |
A方式には、中学時代の経験を表す自由表現課題もあります。C方式の課題レポート詳細は2026年11月11日公開予定です。
過去の作品を一つ完成させておけば、出願課題が済むわけではありません。
受験年度のテーマや条件に合わせて考え、取り組む必要があります。
今から制作や探究を勧めるのは、そのときに調べ方、作り方、改善の仕方まで初めて経験する状態を避けるためです。
数検で得点を先に確保し、受験直前の負担を減らす

制作に関心が強い子ほど、「作品づくりを頑張ればよい」と考えるかもしれません。
しかし、数学の苦手を抱えたまま提出課題の時期を迎えると、両方に時間を割く必要があります。
神山まるごと高専も、2026年度入試の振り返りで、数検優遇には「基礎学力を早期に固め、直前の時間を正解のない問いに使ってほしい」という意図があると説明しています。
早く数学に取り組む意味は、受験直前に提出課題や志望理由を考える時間を確保することにもあります。
まずは、学校の数学で「解説を読めばわかるけれど、自分では解けない」単元を確認しましょう。
計算の間違いなのか、文章から条件を読み取れないのか、理由を説明できないのか。
つまずきを具体的にして、学校の先生や学習塾に相談します。
過去問は、出題のされ方や今の自分との差を知るために使えます。
まだ習っていない内容が多ければ、解けないことを焦るより、これから必要になる学習を確認してください。国語も含め、学校の学習は継続します。
数検を使えば、数学の得点の下限を先に確保できる
2027年度は、数検準2級で数学の満点の70%、2級以上で90%に相当する点と、当日の得点を比較し、高い方を採用します。
資格取得日は不問です。当日の数学の試験は受験する必要がありますが、2級以上を取得して制度を利用できれば、当日の出来にかかわらず数学は90%相当の得点を確保できます。
数検は、単なる学習目標ではなく、受験準備のうち先に進められる部分を済ませておく手段になります。
中1・中2から取り組めば、一度で合格できなくても、次の受検に向けて学び直す時間を取りやすくなります。
取得できれば、受験当日の失点リスクを抑えながら、直前期の時間を提出課題や志望理由の検討に振り向けやすくなります。
たとえば、中2までに2級を取得できた場合、中3では数学で90%相当の得点が確保される見通しを持って、残りの準備を組み立てられます。
数学の苦手対策と初めての制作、出願課題を受験直前に一度に抱える状態とは、時間の使い方が変わります。
準2級・2級には高校範囲の学習も必要です。
受験までの総勉強時間が必ず減るという意味ではなく、学習の負担を早い時期に分散し、当日の一回の試験に依存する度合いを下げる戦略と考えてください。
学校の数学の理解を確かめながら、今の学力と受験までの期間に合わせて取得計画を立てましょう。
制度を利用するには、出願締切までに合格証明書のスキャンデータを提出する必要があります。
受検日だけでなく、結果の確認と証明書の準備まで予定に入れてください。
今の中1・中2が受験する年度にも同じ制度があるとは限らないため、受験年度の要項で条件を確認します。
制作・探究は、一度取り組んだあとに考え直す時間まで確保する

アイデアを形にし、反応を受けて改善する過程のイラスト
「何か作っておこう」と言われても、何をどこまでやればよいか迷うものです。
ここでは、部活動の練習記録アプリを作る場合を例にします。
実在の受験生や合格事例ではなく、準備の進め方を示す例です。
まず、身近な困りごとを一つ形にする
たとえば、「練習した内容を忘れてしまい、次の練習に生かせない」という困りごとから始めます。
最初は、日付と練習内容を入力し、あとから見返せるだけの仕組みを作ります。
初心者なら、見本を動かし、入力項目を変えるところからでも構いません。
ただし、見本が動いたところで終わらせず、「自分たちが使うなら何が必要か」を一つ考えて変えてみます。
使ってもらうと、作る前にはわからなかったことが見える
仲間に使ってもらうと、「毎回長い文章を入力するのが面倒」と言われるかもしれません。
そこで、よくある練習メニューを選択式に変える。もう一度使ってもらい、入力しやすくなったか確かめる。
もし続かなければ、入力の手間以外にも理由がないか聞いてみます。
ここまで取り組むと、「アプリが作れた」に加えて、誰のどんな困りごとに向き合い、何を知り、なぜ作り方を変えたかを説明できます。
この「作る→使ってもらう→考え直す」という経験には、相手の反応を待つ時間も、調べ直す時間も必要です。
中1・中2から始める価値は、何度か試せる余裕を持てることにあります。
経験すると、次に学びたいことも具体的になる
制作の途中で、「複数人の記録を安全に保存するにはどうするのか」「続けて使いたくなる画面とは何か」といった疑問が出てくることもあります。
すると学校を調べる際にも、技術やデザインをどのように学べるのか、自分の疑問を深められる環境があるのか、確認したい点が生まれます。志望理由を考える材料にもなります。
もちろん、この経験だけで入試の評価が決まるわけではありません。
出願課題にはその年度の条件に沿って取り組みます。
その際に、自分で考えて試した経験があれば、次の挑戦の進め方を考えやすくなります。
プログラミング以外でも、同じ進め方ができる
ものづくりの対象は、工作、映像、デザインなどにも広がります。
探究なら、「通学路のどこが危ないか」を観察し、時間帯による違いを調べ、最初の予想と照らし合わせる、といった取り組みも考えられます。
テーマが決まらないうちは、気になることをいくつか試しましょう。
続けたいものが見つかったら、一度取り組んで終わらず、結果を受けて次に何を変えるかまで進めることを勧めます。
記録と学校理解をつなげて、志望理由の材料を育てる

経験していても、受験直前に「どこで困り、何を変えたか」を思い出すのは難しいものです。
活動のたびに、画像と数行のメモを残しましょう。
先ほどのアプリなら、次のように書けます。
- 試したこと:仲間3人に、練習後に使ってもらった。
- わかったこと:文章入力が面倒で、記録が続かなかった。
- 変えたこと:よく使う練習メニューを選択式にした。
- 次に確かめたいこと:入力を簡単にしたら、使い続けてもらえるか。
うまくいかなかった記録も残します。あとから見返すと、完成した画面だけではわからない、自分の考え方や行動の変化を確認できます。
「自分がやりたいこと」と「学校で学べること」を照らし合わせる
2027年度A/B方式の志望理由書では、入学後の挑戦、その挑戦に学校の特徴や学びをどう生かすか、さらにその先に実現したいことを問われています。
たとえば「アプリを作りたい」から一歩進めて、「練習記録を作ってみたが、使い続けてもらう難しさがわかった。
技術だけでなく使いやすさも学びたい」と考えられれば、学校の何を調べるべきかが具体的になります。
公式サイトや説明会では、関心のある授業・課外活動に加え、寮生活も確認してください。
「この環境で何を学びたいか」「生活面で心配なことは何か」を親子で話します。
志望理由は、経験と学校理解を行き来しながら具体化していくものです。
今の関心や希望を書き留め、経験が増えて考えが変わったら更新していきましょう。
では、今月は何から始めるか
ここまでを踏まえ、最初の1か月は次の3つを進めてみてください。これはSandboxが提案する出発点です。
- 数学の現在地を確認し、数検取得までの計画を立てる。 最近のテストや問題集で苦手単元を確認し、準2級・2級までに必要な学習を先生と相談します。受検と証明書の準備にかかる期間も含め、直前期より前に得点を確保するための予定を考えます。
- 興味のあることを一つ、実際に試す。 初心者なら見本を動かして一か所変える。既に作品があるなら誰かに使ってもらい、直す点を探します。活動後には画像と数行のメモを残します。
- 学校について調べ、本人の言葉を残す。 関心を持った授業や活動、やってみたいこと、まだわからないことを一枚に書き出します。
制作や探究の時間は、学校の学習を続けられる範囲で予定に入れます。
最初から毎週の成果量を決め込むより、実際にかかった時間を振り返って調整しましょう。
中1・中2・中3で、準備の重心を変える
時期 | 準備の重心 | 次へ進む目安 |
|---|---|---|
中1 | 学校の学習を続け、気になる活動を試す | 続けて取り組みたいことが見つかる |
中2 | 一つのテーマに取り組み、反応や調査結果から改善する | 何を試し、なぜ変えたかを説明できる経験がある |
中3 | 最新要項を確認し、学力試験・提出課題・志望理由の予定を組む | 出願条件と期限に合わせ、必要な準備に取り組めている |
学年は目安です。中2から初めて制作するなら、小さな題材から始められます。
既に継続している活動があるなら、それを深めることから考えてください。
中3では、活動記録を整理し、受験年度の課題に向き合います。2027年度はA/B方式の併願と、その後のC方式への再チャレンジも可能です。
方式の選択は、本人の強みと提出条件、期限、費用を照らし合わせて判断します。
出典:2027年度入試情報
保護者は、本人が試せる時間と、振り返る機会をつくる

保護者が子どもの考えを聞く親子の対話のイラスト
保護者が手伝いやすいのは、学習・活動の予定を一緒に考えること、試作品を使ってみること、説明会に参加することです。
活動のあとには、「何がうまくいかなかった?」「それで何を変えた?」「次はどうする?」と聞いてみてください。
本人が言葉に詰まったら、作業の画像やメモを一緒に見返します。
大人がテーマや説明を先に完成させると、本人が選び、考え直す機会が減ってしまいます。
必要な技術を教えたり、困ったときに相談に乗ったりしながらも、何を作り、次に何を変えるかは本人と話して決めます。
受験直前に経験を思い出せるよう、日頃から話を聞き、記録を残す手助けをしておきましょう。
よくある質問

コンテストでの受賞が必要ですか?
2027年度の入試では、コンテストへの出場・受賞は必須条件として指定されていません。
準備の優先順位としては、まず学習の基礎と、本人が継続して取り組める活動を考えます。
コンテストや発表会は、他者の反応を得る機会や制作の区切りとして活用できます。応募のために、本人の関心と無関係なテーマへ変える必要はありません。
中3からでは遅いですか?
中3からでも、今の学力や経験に応じて進められる準備はあります。
まず最新要項を確認し、学力試験の準備状況と、これまでの活動、提出物と期限を整理してください。
新しい作品を増やす前に、既に続けてきた制作や探究、部活、委員会なども振り返ります。
残り時間に合わせて、何を優先するか決めましょう。
プログラミング教室に通うべきですか?
受験の必須条件ではありません。まず、本人が取り組みたいことと、今困っていることから考えます。
作りたいものがあるのに技術面で止まっている、何度試しても原因がわからない、といった場合は、指導を受ける選択肢があります。
教室を選ぶなら、操作を教わるだけでなく、自分で考えて作り、改善する機会があるかを確認してください。
学習と制作の進め方を、Sandboxで相談できます

神山まるごと高専を目指す早期準備では、数学の基礎を固めながら、関心のあることに取り組み、その過程を残していきましょう。
受験年度には、その学力と経験をもとに、提出課題と志望理由に向き合います。
「何から作ればよいかわからない」「制作が途中で止まっている」「今の経験をどう整理すればよいか迷っている」。
Sandboxでは、今の学年、学習状況、これまでの活動を伺い、次に取り組むことを一緒に考えます。
プログラミング作品の制作、活動記録の整理、志望理由の添削、面接・発表の練習を支援します。
数学・国語などの学力試験の教科指導は、学校の先生や学習塾と相談しながら進めてください。