「自分でアプリを作ってみたい。でも、何から勉強すればいいの?」
使う言語を調べると、JavaScript、Python、Swift、Kotlin……と名前が並び、始める前から迷ってしまいます。
高校生が初めてアプリ開発に取り組むなら、まず「誰が、何をするためのアプリか」を決め、機能を一つずつ作っていきましょう。
作りたいものがまだ決まっていない場合は、ブラウザで動く小さなWebアプリが候補になります。例えば、課題のチェック、クイズ、学習記録などです。
この記事では、アプリの種類と言語の選び方、初心者向けの作品例、完成までの進め方を紹介します。「勉強するだけで終わってしまう」を抜け出し、自分の作品を作るための入り口にしてください。
初心者の高校生でもアプリは作れる?
プログラミングが初めてでも、小さな機能から学びながら作っていくことはできます。
ただし、「アプリ」といっても範囲は広く、ボタンを押すと結果が出るクイズと、多人数で使うSNSでは必要な知識が大きく違います。
最初の作品では、次のように範囲を決めると取り組みやすくなります。
- 使う人は、まず自分一人。
- 画面は一つ。
- 中心となる機能は一つ。
- 会員登録や決済は、必要になるまで追加しない。
例えば課題管理なら、最初は「課題名を入力して一覧に追加する」だけで構いません。その後に完了チェック、保存、期限の表示を足していきます。
小さくても、自分で動かして、使って、直せる作品があると、次に何を学べばよいかが具体的になります。
Webアプリとスマホアプリはどう違う?
アプリ開発を始める前に、どこで動かすものを作りたいかを整理しましょう。
種類 | 使う場所・特徴 | 技術の例 |
|---|---|---|
Webアプリ | ブラウザで利用する。公開すればURLからアクセスできる。スマートフォンで使うものも作れる。 | HTML・CSS・JavaScript。必要に応じてサーバー側の技術を追加。 |
iPhone向けのネイティブアプリ | iOS向けに作り、端末にインストールして利用する。 | Swift・SwiftUI、開発環境のXcodeなど。 |
Android向けのネイティブアプリ | Android向けに作り、端末にインストールして利用する。 | Kotlin、開発環境のAndroid Studioなど。 |
「スマホで使えるアプリ」と「App StoreやGoogle Playで配布するアプリ」は同じ意味ではありません。Webアプリも、スマホのブラウザで使えるように作れます。
逆に、ブラウザ向けに作ったものが、そのままストアで配布できるわけでもありません。利用する端末の機能や、配布方法に応じた準備が必要です。
参考:Apple Swift/Apple Xcode/Android Developers KotlinとAndroid
最初の作品にWebアプリを選ぶ理由
まだ作りたいものがはっきりしていない場合、この記事では小さなWebアプリから始める方法を提案します。
画面や動きの変更をブラウザですぐ確認でき、自分のパソコンで試す段階では、アプリストアへの登録・審査を経ずに開発を進められるためです。
ただし、通知やバックグラウンド動作など、使える機能や条件には端末・ブラウザによる違いがあります。作りたい機能が決まっている場合は、その機能を実現できるか確認してから技術を選びましょう。
高校生のアプリ開発で使う言語はどう選ぶ?
人気順で選ぶよりも、作りたいものから決める方が学習の方向を定めやすくなります。
作りたいもの | 最初に検討する技術 | 考え方 |
|---|---|---|
クイズ・課題チェックなどのWebアプリ | HTML・CSS・JavaScript | 画面とボタン操作を組み合わせる基礎を学ぶ。 |
データ集計・分析を中心とするツール | Python | まずデータを読み、処理する部分を作る。画面やWeb公開は別途学ぶ。 |
iPhone向けのアプリ | Swift・SwiftUI | 対応する開発環境を確認し、画面と操作の小さな例から進める。 |
Android向けのアプリ | Kotlin | Androidの公式教材などで、画面と状態の扱いを学ぶ。 |
iPhone・Androidの両方に対応するアプリ | JavaScript/TypeScript・React Native | Reactを使って、両OS向けのアプリを開発する。 |
複数のOSに対応する開発方法や、ノーコードの選択肢もあります。ただ、最初からすべてを比較して覚える必要はありません。一つの作品で必要になる技術に絞りましょう。
HTML・CSS・JavaScriptの役割
Webアプリでは、この3つを組み合わせて画面と動きを作ります。
- HTML: 見出し、入力欄、ボタンなど、画面の構造を作る。
- CSS: 色、文字の大きさ、余白、配置などを整える。
- JavaScript: ボタンを押したときの処理や、入力内容に応じた表示の変更を行う。
HTMLとCSSは、JavaScriptと同じ意味でのプログラミング言語ではありません。それぞれ役割が異なるWebの技術です。
例えばクイズなら、問題文と選択肢をHTMLで置き、CSSで読みやすく整え、JavaScriptで正誤判定をします。
基礎を確認する教材としては、MDN「初めてのウェブサイト」などがあります。
初心者の高校生には、どんなアプリが作れる?
最初は、身近な「ちょっと便利」を形にしてみましょう。
- クイズアプリ: 選択肢を押すと、正解と解説が表示される。
- 課題チェックアプリ: 宿題を一覧にし、終わったものにチェックを付ける。
- 学習記録アプリ: 勉強した教科や時間を記録する。
これは学習用のアイデアであり、Sandboxの実際の生徒作品ではありません。
クイズなら最初は1問だけでも構いません。動いたら問題や得点表示を増やすなど、一つずつ広げていきます。「まず何が動けばうれしいか」を決めると、学び始めやすくなります。
アプリ開発は、どう始めればよい?
1.使う人と、小さな目標を決める
「自分が宿題を忘れないための課題チェックアプリ」など、誰の何に役立つかを考えます。
最初の目標は「課題を一つ追加できる」「クイズの答えを選べる」くらいで十分です。画面を紙に描くと、作るものが具体的になります。
2.必要な基礎を学びながら、一つ動かす
Webアプリなら、HTML・CSSで画面を作り、JavaScriptでボタンを押したときの動きを付けます。
すべての文法を覚えてから作り始める必要はありません。入門教材の小さな例を動かし、自分の作品に必要な部分を少しずつ学びましょう。
基礎教材には、MDN「初めてのウェブサイト」などがあります。
3.使ってみて、直していく
動いたら、自分で使ったり、友達や先生に試してもらったりします。「ボタンが分かりにくい」「ここにも機能がほしい」という反応が、次に学ぶことの手がかりになります。
保存や公開は、作品に必要になってから学べば構いません。最初からアプリストアで配布する必要もありません。
大切なのは「自分がどこを作り、どう直したか」を説明できることです。
必要な道具と、学ぶ時間の考え方
小さなWebアプリなら、コードを編集できるパソコンとブラウザが基本です。無料の教材や開発ツールでも学び始められます。
学校の端末を使う場合は、ソフトの追加や外部サービスの利用ルールを確認してください。iPhone・Android向けの開発は必要な環境が異なるので、パソコンを買う前に確認しましょう。
必要な期間は、経験や作品の規模によって変わります。「何週間で必ず完成」とは決めず、学校や部活と両立して手を動かせる時間を考えます。難しい場合は、機能を減らしたり、質問できる人に相談したりして進めましょう。
アプリ制作は、探究や大学入試にもつながる
アプリを作る経験は、学校の探究活動や、条件の合う総合型選抜で、自分の関心と学びを伝える材料にできる場合があります。
身近な課題に気づき、アプリを作り、使ってもらって改善する過程は、「何に興味を持ち、どう考えて行動したか」を説明する材料になります。
ただし、アプリを作っただけで、どの大学でも有利になるわけではありません。 出願条件や提出できる資料、評価方法は大学・学部・方式によって異なります。志望先の最新の募集要項を確認しましょう。
制作中から残しておきたいこと
- なぜ、そのアプリを作ろうと思ったか。
- 自分で考えて作った部分と、助言やツールの支援を受けた部分。
- どこで困り、何を調べて、どう改善したか。
途中の画像や短いメモを残しておくと、自分の取り組みを振り返りやすくなります。
Sandboxの実例:作品と制作過程を総合型選抜で活用
Sandboxでは、高校3年生がUnityでオリジナルのピタゴラ装置を制作した事例を公開しています。初心者向けアプリの例とは異なりますが、制作経験を進路につなげた実例です。
作品と制作過程を、京都橘大学の総合型選抜「デジタルクリエイション講座参加方式」の出願資格審査で活用し、出願資格が認められました。
これは出願資格審査を通過した段階の事例であり、合格実績を示すものではありません。
高校生のアプリ開発でよくある質問
文系でもアプリ開発はできますか?
取り組めます。課題チェックやクイズなどの入門作品では、高度な数学より、入力から結果までの手順を整理することが中心です。一方、3D表現や高度なデータ分析などでは、数学の知識が役立つ場面が増えます。
スマホだけでも作れますか?
アプリ開発を学ぶなら、パソコンを用意しましょう。コードの編集やエラーの確認を行うためです。スマホは、作ったアプリの動作確認に使えます。
Pythonを学べば、スマホアプリも作れますか?
Pythonでも専用の開発ツールを使えば作れますが、Pythonの基礎だけでは作れません。スマホアプリを作ることが目的なら、この記事ではiPhone向けのSwift、Android向けのKotlin、両方に対応するReact Nativeなどから選ぶことを勧めます。
独学とスクールのどちらがよいですか?
教材を進め、エラーを調べながら作れるなら、独学で始める方法があります。何を作るか決められない、同じ問題で何日も止まる、自分のコードを説明できない場合は、質問できる先生やスクールを検討するとよいでしょう。
スクールを選ぶときは、教材を終えるだけでなく、自分の作品を作り、修正するところまで支援してもらえるかを確認してください。
最初からアプリストアで公開した方がよいですか?
最初の作品で必須ではありません。まず使えるものを作り、試してもらって直す経験を積めます。ストア公開が目標なら、開発とは別に登録・審査・運用の準備を計画しましょう。
まとめ|一つの機能が動くところから始めよう
高校生が初心者からアプリ開発を始めるなら、まず使う人と目的を決め、小さな機能を一つ作ってみましょう。
- ブラウザで動かしたいなら、Webアプリを検討する。
- 画面と動きの基礎として、HTML・CSS・JavaScriptを学ぶ。
- 追加・判定・表示など、一つの操作から作る。
- 制作中の工夫や改善を記録し、探究や進路を考える材料にする。
- 使ってもらった反応をもとに改善する。
最初の作品は、課題を一つ追加できるだけでも構いません。その機能を自分で説明し、変更できるようになったら、次の機能に進んでみてください。
Sandboxでは、高校生の関心や目標に合わせて、Web制作・アプリ開発などの学習と作品制作を支援しています。
「何を作ればよいか分からない」「基礎を学んだけれど、自分のアプリを完成させたい」という方は、作ってみたいものや今の学習状況をご相談ください。