データは、数値や文字などで表された記録。情報は、そのデータを文脈や目的に照らして捉えた意味や内容です。
例えば「数学75点」という記録に「平均点は68点」という条件を加えると、「平均より7点高い」と読み取れます。
今回は同じ点数に喜ぶ人と落ち込む人の違いから、データ・情報・知識、メディアの3分類、SNSの情報を確かめる方法まで整理します。
同じ75点なのに、なぜ反応が違う?
成績表を受け取ったユウキは、数学75点に大喜び。ところが隣の生徒は、同じ75点なのに浮かない顔です。
ユウキ:「同じ点数なのに、喜んだらあかんやつ?」
Sandy:「点数に空気を読ませるな。比べとる相手が違うんや。」
今回の平均点は68点。ユウキが平均と比べれば、75点は7点上です。一方、90点を目標にしていた生徒にとっては、あと15点必要な結果。同じ記録でも、比較の基準によって読み取れることが変わります。
75点という記録は同じでも、平均68点と比べるか、目標90点と比べるかで意味が変わります。

同じ得点でも、比較する基準によって読み取れる意味が変わります。
ここで大切なのは、「嬉しい・悲しいという感情が情報」という覚え方をしないこと。「平均より7点高い」「目標より15点低い」という関係を読み取り、その結果として感情が生まれています。
データ・情報・知識の違い
初めて学ぶときは、次のように整理すると理解しやすくなります。
用語 | 学習のための整理 | 成績の例 |
|---|---|---|
データ | 数値・文字・画像などで表された記録 | 今回の得点75点、平均点68点 |
情報 | 文脈や目的に照らして読み取れる意味・内容 | 今回は平均より7点高い |
知識 | 情報や経験を関連づけ、判断に使える形にしたもの | 得点だけでなく平均点や分野別の結果も見ると、学習状況を捉えやすいという理解 |
ユウキ流に言えば、データは食材、情報は料理。ただし、これは関係をつかむためのたとえです。データと情報は、いつでも完全に別の箱へ分けられるわけではありません。「75点」と伝えるだけでも、前後の事情を知る相手には役立つ情報になります。
また、データは数字に限りません。アンケートの自由記述、写真、録音もデータです。「文字なら情報、数字ならデータ」と形だけで判定しないようにしましょう。
記録を比べて意味を読み取り、その関係を次の判断にも使えるようにする。これが3つをつなぐ見方です。

データ・情報・知識は、記録・意味・判断をつなぐ見方で整理できます。
データなら、必ず正しい?
いいえ。測定ミス、入力ミス、集め方の偏りがある場合もあります。数字で示されているだけで、正確さが保証されるわけではありません。
例えば、クラスの数人だけに聞いた結果を「学校全体の意見」として扱えば、判断を誤る可能性があります。解釈だけでなく、元の記録をいつ・誰から・どう集めたかも確かめる必要があります。
メディアの3分類は「表す・運ぶ・残す」
情報を表現したり、相手に届けたり、保存したりする仲立ちをメディアと呼びます。テレビや新聞だけを指す言葉ではありません。
情報Ⅰでは、役割に注目して次の3つを区別します。
分類 | 注目する役割 | 例 |
|---|---|---|
表現メディア | 情報を何で表すか | 文字、音声、静止画、動画 |
伝達メディア | 情報を何で運ぶか | 電波、光ファイバー、情報を届ける紙 |
記録メディア | 情報を何に残すか | 紙、SSD、USBメモリ、ハードディスク |
覚える軸は「表す・運ぶ・残す」。物の名前だけでなく、その場面での役割を見ます。

同じ紙でも、届ける役割と保管する役割では分類が変わります。
例えば紙の成績表なら、点数を表す文字や数字は表現メディア。紙を配って結果を届けることに注目すれば伝達、保管して後から読み返すことに注目すれば記録です。
ユウキ:「紙、掛け持ちしすぎじゃない?」
Sandy:「紙が忙しいんやない。こっちが何の役割を見とるか、や。」
スマートフォンにも、画面に表す、通信する、保存するという複数の働きがあります。「スマホは何メディア?」とだけ聞かれても、どの働きについての質問かで答えが変わります。
なお、クラウドはサービスや仕組みを指します。実際にデータを記録している媒体は、サーバ内のSSDなどです。「保存先としてのクラウド」と「物理的な記録媒体」を分けると、より正確に理解できます。
SNSの噂を見たら、メディアリテラシーの出番
ここで、ハルカがSNSの投稿を見せてきます。内容は、ある生徒が不正をして点を取ったという噂。ユウキは知らせようとしますが、Sandyが止めます。
この物語は架空の学習用の例です。問題は「驚く話だから広める」という判断にあります。
メディアリテラシーとは、メディアの情報を批判的に読み解き、適切に活用・発信する力です。「批判的」は、何でも否定するという意味ではありません。根拠や文脈を確かめ、判断を見直せるようにすることです。
受け取るときだけでなく、自分が発信するときにも確かめる力が必要です。

メディアリテラシーには、受け取る力と適切に発信する力の両方が含まれます。
投稿を見るときは、まず次の3点を確認します。
- 発信者: 誰が、どんな立場で書いたのか。
- 根拠: 実際の記録や確認できる資料があるか。「らしい」だけではないか。
- 日付・文脈: いつ、どこでの話か。古い出来事や一部の場面を切り取っていないか。
匿名だから必ず間違い、実名だから必ず正しい、とは限りません。名前の有無だけで決めず、確かめられる根拠を見ます。
そして、噂も情報の一種です。ただし、真偽が未確認の情報を、確認済みの事実として扱ってはいけません。「情報」という言葉は「正しい内容」の保証書ではないのです。
一次情報と二次情報は、出どころで考える
ここでは、当事者の直接の証言や、調査・観測で得た元の記録などを一次情報、それらを他の人が紹介・整理・解説したものを二次情報として整理します。
例えば学校行事の日程なら、学校が出した正式なお知らせに戻ると確認しやすくなります。友達の「変更になったらしい」という投稿だけで予定を変えるより、発信元を確かめる方が確実です。
ただし、一次情報なら必ず正しい、二次情報なら信用できない、ということではありません。 当事者も勘違いすることがありますし、複数の資料を丁寧に確認した解説もあります。
同じ資料が何についての根拠になるかも重要です。本人の投稿は「本人がそう述べた」ことの直接の資料ですが、その内容がすべて事実である証明にはなりません。
拡散前にできる3つの行動
- 元をたどる。 元の発表、記録、前後を含む文章や映像を確認する。
- 独立した根拠と比べる。 投稿が10件あっても、全部が同じ噂の転載なら、10個の証拠にはならない。
- 一呼吸おく。 確認できない話を広めない。個人の評判に関わる内容なら、なおさら慎重に扱う。
「みんなが言っている」より、「何を根拠に言っているか」を確かめましょう。

同じ噂の転載を複数の証拠と数えず、元の根拠を確認しましょう。
物語では、後から不正ではなかったと分かります。ただ、結末を知る前でも「根拠が確認できないから拡散しない」という判断はできます。自分で噂の相手を問い詰めず、必要なら信頼できる先生などに相談しましょう。
オリジナル学習例:文化祭のアンケートで確認
文化祭の企画について、40人にアンケートを取りました。24人が展示企画を希望しています。
ここで「24人」という回答数はデータ。「回答者の60%が展示を希望している」は、集計して読み取った情報です。ただし「全校生徒の60%が希望している」と言い換えることはできません。回答した40人と全校生徒は、同じ集団とは限らないからです。
次に、結果を文字と円グラフで表し、Wi-Fiの電波で送り、端末のSSDに保存したとします。
- 文字と円グラフ:表現メディア。結果を読める形にしている。
- Wi-Fiの電波:伝達メディア。データを相手に届けている。
- SSD:記録メディア。後から使えるように保存している。
もしSNSで「学校が展示企画に決定した」と投稿するなら、アンケート結果と学校の決定を混同していないか確認が必要です。希望が多いことと、正式に決まったことは別の事実です。
※これは理解を確認するためのオリジナル学習例で、実際の共通テスト問題ではありません。
まとめ:数字も噂も、背景まで読む
- データは記録、情報は文脈の中で読み取れる意味や内容。知識はそれらを関連づけ、判断に使えるようにしたもの。
- メディアは「表す・運ぶ・残す」という役割で区別する。
- メディアリテラシーには、受け取る力と発信する力の両方が含まれる。
- 出どころ、根拠、日付を確認し、未確認の話を事実として広めない。
同じ75点から何を読み取るか。その練習は、成績表だけでなく、グラフやニュース、SNSを読むときにも役立ちます。
次の学習では、身近なグラフについて「元のデータは何か」「どんな比較をしているか」「その説明はデータから言えるか」を確かめてみてください。
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参考資料
- 文部科学省「情報Ⅰ」教員研修用教材・第2章:メディアとコミュニケーションの学習背景。
- UNESCO:Media and Information Literacy and Misinformation:誤情報と、情報を批判的に扱う力の学習背景。
- 情報Ⅰサバイバル 第2話:成績表とSNSの物語をもとに、記事向けに再構成。